JR北海道、春のダイヤ改正で毎時6本に増発の快速エアポート その「からくり」を有識者が解説
JR北海道は、2024年の春のダイヤ改正において新千歳空港へのアクセスを担う快速エアポート号の増発と千歳線の停車駅パターンの変更を行うことを発表した。
札幌―新千歳空港間の快速エアポート号については、9時~16時の時間帯は現在の毎時5本から毎時6本の運転となる。このうち、1本は停車駅の少ない特別快速として運行。2本が北広島―新千歳間を各駅に停車する区間快速として運行される。小樽駅発着便については特別快速と快速の2本となる。小樽方面の快速列車については、エアポート号、ニセコライナー号ともに桑園駅が新たな停車駅に加えられる。
実は、この快速エアポート号の増発にはからくりがある。
現在、日中に札幌―千歳・苫小牧間で運行されている普通列車は北広島折り返しに改められ、北広島―千歳間の普通列車の運行は取りやめとなる。代わりに札幌―新千歳空港間に設定される区間快速エアポート号が、北広島―千歳間の各駅に停車し運転を取りやめる普通列車を補完するというものだ。
このダイヤ改正について「全体の列車キロは増えず、コストの増えない知恵を絞ったものと言えるでは」と交通コンサルタントの阿部等氏は解説する。さらに阿部氏は「札幌方面-北広島・恵庭・千歳の行き来では等間隔でなくなる、所要時間が伸びるなど、不便になる面もあるものの、快速『エアポート』増便の宣伝効果は大きい。しかし、ボールパークに行く人が特別快速に乗り間違え、北広島を通り過ぎてしまうといった事態が心配だ。そうしたことから特別快速では皆が気付く案内が欠かせないのではないか」と話す。
現在、日中に札幌方面から新千歳空港へ直通する列車は快速「エアポート」のみなので、「快速が停車しない島松、恵み野、サッポロビール庭園、長都の各駅と新千歳空港との行き来では千歳などでの乗り換えが強いられていた。これらの駅は毎時2本の区間快速を利用してかなり便利になる」。一方、「南千歳は市街地から離れて駅そのものの乗降は少なく、利用者の大半は苫小牧・室蘭・帯広・釧路方面との乗り継ぎ客。こうしたことから、乗り継ぎダイヤを工夫して特別快速は南千歳を通過させ、速達性をさらに高めた方がよいのでは」と提案する。
札幌方面から北広島行の普通列車は札幌方面のホームに到着する。そのため、北広島にて新千歳空港方面に乗り継ぐと、これまでのホーム対面での乗り換えができなくなり跨線橋を渡る必要が生じる。これについても阿部氏は「苗穂、白石、平和からの乗車では新札幌なら同一ホームで乗り換えられることの案内が重要だ」と話す。
また、阿部氏は「南千歳での新千歳空港と苫小牧・室蘭・帯広・釧路方面の乗り換えは、以前はホーム対面でできたが、快速『エアポート』を毎時4本から5本に増発した際に取りやめてしまった。多くの人が大きな荷物を持って跨線橋乗換えをする様子を見ると不憫に思う。それを理由とした鉄道離れもあるのではないか」と警鐘を鳴らした。
(了)
<参考記事>
2023年11月18日付(2024年春改正で「エアポート」毎時6本運行のJR北海道 北広島―千歳間の普通列車の運行は取りやめに)