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夏の祭典「WEL SP 2014」レポート

ラリー遠田作家・お笑い評論家

8月17日、東京・博品館劇場で「ワタナベエンターテインメント 夏のスペシャル お笑いライブ WEL SP 2014」が行われた。このライブは、毎月開催されている「WEL(ワタナベエンターテインメントライブ)」のスペシャル版。テレビで有名な大物芸人から駆け出しの若手芸人まで、ワタナベエンターテインメント所属の芸人たちが一堂に会するビッグイベントだ。

昼公演でMCを務めたのは、ロッチ・コカドケンタロウとハライチ・澤部佑。澤部は開始早々、この日のためにスタイリストに衣装を用意してもらったことをコカドに指摘されていた。

まず、ブルーリバー、あばれる君、シャカ、ロッチがネタ披露。ブルーリバーはパワフルな漫才で会場を盛り上げ、トップバッターの役割を果たした。ロッチは、ホワイトボードを用いたコントで爆笑を取った。

モノマネSHOWケースのコーナーでは、ハライチ・澤部、山本高広、フォーリンラブ・バービーがMCを担当。歌のモノマネ、こだわりモノマネ、ものまねサスペンス劇場という三部構成で、モノマネを得意とする芸人が次々に登場した。コーナー全体を引っ張っていたのは、倖田來未、芦田愛菜のモノマネで人気絶頂のやしろ優。その他、プロ野球の坂本勇人選手のモノマネをするさかとも、郷ひろみやとんねるずなど豊富なレパートリーを持つあしべなども目立っていた。

次に、プリンセス金魚、ハチクミ、ソフトアタッチメント、ザブングルがネタ披露。もはや伝統芸とも言えるザブングル・加藤歩の逆ギレ芝居には会場が沸いた。

1分間・笑いのスプリントSHOW!のコーナーでは、ロッチ・コカド、アレクサンダー、森田みいこ、フォーリンラブ・バービーがMCを担当。若手芸人が次々に1分ネタを披露していった。特に、奇抜な設定からアッと驚くオチへとつながるあめんのコントでは会場が盛り上がった。

最後のネタコーナーでは、アンガールズ、Wエンジン、ネプチューンが登場。現在、ネプチューンのコントが見られるのは、年に一度のこのライブだけ。安定感抜群のネタで貫禄を見せつけた。

夜公演では基本的なライブ構成は同じで、ネタの出演者やMCの顔ぶれが一部変わっていた。ネタを披露したのはブルーリバー、あばれる君、夜ふかしの会、笑撃戦隊、プリンセス金魚、キサラギ、ソフトアタッチメント、超新塾、ハライチ、100W、我が家、ネプチューン。切れ味鋭いボケをたたみかけるハライチの漫才では何度も爆笑が起こっていた。

モノマネSHOWケースでは、あしべがとんねるずと松本人志のモノマネで『いいとも』最終回を完全再現するという圧巻の芸を見せた。

1分間・笑いのスプリントSHOW!では、MCとしてロッチ・コカド、西村賢太、森田みいこ、イモトアヤコが出演。ここでは平野ノラのバブルしりとりのネタが大ウケ。バブル時代のキャラを貫き、積極的にアピールする姿が印象的だった。

漫才ではブルーリバー、ソフトアタッチメント、100W、ピン芸ではさかとも、あしべ、平野ノラなど、若手芸人も粒ぞろい。昼・夜公演を通じて、ワタナベ芸人の層の厚さと底力を見せつける内容となっていた。

MCのロッチ・コカド、ハライチ・澤部
MCのロッチ・コカド、ハライチ・澤部
平野ノラ(中央)
平野ノラ(中央)
ハライチ
ハライチ
作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行う。主な著書に『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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