メディアへの注力状況を接触時間の割合からさぐる(2023年公開版)
インターネットを気軽に使えるデジタルメディアが普及するに連れて、各メディアへの注力の度合いも大きな変化を見せている。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2023年5月に発表した「メディア定点調査2023」(※)の公開値などを用い、主要メディアへの注力状況を接触時間の割合から確認する。
モバイル端末、具体的には携帯電話が従来型携帯電話からスマートフォンに移行し、さらにタブレット型端末も本格的な普及を始めたことにより、インターネットの利用機器もパソコンから携帯電話やタブレット型端末へとシフトする気配を見せている。
次に示すのは全体、そして新しいメディアに敏感な属性の代表として20代男性における、メディア接触時間の経年変化を全体接触時間に占める割合でグラフ化したもの。メディアへの注力状況の変化がよくわかる結果が出ている。なお項目中の「携帯電話」は従来型携帯電話とスマートフォンの合算である。
全体において2011年から数年間はラジオのシェアが増加するイレギュラーな動きを見せたが、(2011年分は調査タイミング上、震災とは関係無し。2012~2013年は震災の影響の可能性がある)、全般的にテレビやラジオの比率は減少傾向にある。またパソコン(によるインターネット)の比率も2011年をピークに減り、その分タブレット型端末や携帯電話の比率は増加し続けている。2014年は特に新設されたタブレット型端末が全体ではいきなり5%近いシェアを占め、さらに携帯電話も2割近い時間を確保するなど、モバイル系の比率が大幅に増加しているのが分かる。20代男性ではその動きはさらに顕著なものとなっている。ただしここ数年、パソコンのシェアが盛り返しを見せていたのは興味深い動きではある。
直近の2023年では全体においてタブレット型端末と携帯電話を合わせて4割超のシェアを確保することとなった。パソコンも合わせれば6割近く。インターネットを利用する端末の接触時間の合計シェアは拡大する傾向にある。
テレビに関して付け加えるとすれば、接触時間は男女別では女性が、年齢階層別では高齢層が長い。これは他の調査でも同様の結果が多数示されており、それを裏付けた形となっている。また実感として大いに納得できる実情ではある。
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※メディア定点調査2023
調査方法は郵送調査方式。調査期間は2023年1月26日から2月10日。東京都を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、629通が回収された。各値は2022年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。
過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。