単身世帯は増加中…高齢者がいる世帯の構成割合をさぐる(2023年公開版)
高齢化社会の到来とともに、高齢者がいる世帯の実情が注目を集めている。現状としてどのような世帯構成なのだろうか。単身世帯はどれほどなのか。厚労省の国民生活基礎調査(※)の結果から確認する。
高齢者(65歳以上)の人口、そして日本全体の人口に占める高齢者の割合は増加の一途をたどっている。その高齢者がいる世帯は、どのような家族構成なのか、特に社会問題視されている「お年寄りが一人のみの世帯」の比率は増加しているのか否か、気になるところではある。次のグラフはその実情を計算した結果。
最新の2022年分における調査結果では、お年寄り一人だけの単身世帯は31.8%。高齢者がいる世帯のうち、3割強は「その高齢者が1人だけの世帯」となる。また、子供や孫がおらず、夫婦(大抵の場合は双方とも高齢者)だけの高齢者世帯「夫婦のみ世帯」は32.1%。これらを合わせた「お年寄りだけの世帯」は63.9%となり、過半数を占めるどころか6割強となる。
興味深いのは世帯比率で見た場合、中期的な流れとして
・増加……単身世帯、夫婦のみ世帯(親と未婚の子のみ世帯)
・減少……三世代世帯
となり、減少しているイメージのある「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」も増加傾向にあったこと(2013年以降20%内外でほぼ横ばい)。
高齢フリーターが漸増傾向にあることなどと関連させて考えると、「高齢者と、離婚して出戻り状態の子供、あるいは晩婚化などで結婚待ち、さらには結婚をするつもりのない中年層(30~40代、あるいは50代まで)」との家族構成が増加していた感はある。
さらには該当する高齢者を介護するために、親と同居している事例も想定可能だが、残念ながら国民生活基礎調査ではそこまでの調査は行われていない(介護そのものの設問はある)。
直近年では三世代世帯の比率は7.1%。高齢者がいる世帯のうち、祖父母とその子、さらに孫がいる、昔の物語ではよく登場する構成を持つ世帯はすでに1割を切ってしまっている。
また2013年以降では「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」の動きも微妙なものとなっている。振れ幅がやや大きいが、増加ではなく頭打ちの感がある。これは高齢層とは同居せず、近い距離同士で別居する「近居」のスタイルが普及浸透しているのが一因かもしれない。その場合、今調査においては「単身世帯」「夫婦のみの世帯」のいずれかに該当することになる。
何らかのリスクとなるような事象(例えば室内における熱中症、不意の転倒による骨折などで歩行が困難になる事案、ぎっくり腰)が発生した場合、高齢者のみ、特に一人身の世帯では手遅れになる可能性は高い。また、日常生活においても買物困難者問題や高齢ドライバー問題をはじめ、社会インフラの観点で、高齢者のみの世帯の増加は大きな問題の要因となる。各種対策について、行政側へは早期の対策とその実行が求められよう。
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※国民生活基礎調査
今調査は全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2022年6月2日に世帯票・健康票・介護票、同年7月14日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が20万3819世帯分、所得票・貯蓄票が1万9140世帯分、介護票が5499世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2022年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票すべての調査が実施されている。
また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。
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