大東文化大学22季ぶりリーグV決定的。現代版モスグリーン旋風とは。【ラグビー旬な一問一答】
トンガ人留学生を擁して1980~90年代の大学ラグビー界を沸かせた大東文化大学ラグビー部が、加盟する関東大学リーグ戦1部で22年ぶりの優勝を決定づけた。
11月18日、東京・江戸川陸上競技場で2連覇中の東海大学と全勝同士で激突。堅い防御を保ち、ノーサイド直前は自陣ゴール前で相手の猛攻を耐えしのぐ。12-5で逃げ切り、開幕6連勝を決めた。
大東文化大学が25日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる最終戦(対中央大学)を落とし、翌26日に東海大学が流通経済大学戦(秩父宮)を制した場合は、大東文化大学、東海大学、流通経済大学の3校が6勝1敗、勝ち点21で並ぶ。しかし、同じ勝ち点同士のチームの順位は当該同士の勝敗で決まるため、すでに流通経済大学を下している大東文化大学は次戦を棄権しない限り優勝を決める。
一時は入れ替え戦に進むなど低迷していた大東文化大学だが、一昨季の大学選手権では16シーズンぶりに4強入りするなど復活ののろしを上げていた。この日は通算4度目の学生日本一に向け、大きな一歩を踏み出したといえる。
試合後の会見に臨んだのは、就任5年目の青柳勝彦監督と河野良太キャプテン。選手時代は鋭いタックルで渋い光を放っていた青柳監督は、現職に就いてもタックルの技術と素早い防御ラインの形成を徹底。留学生選手の突破力に頼らぬ戦い方を構築していた。
かたや身長167センチと小柄な河野良太は、現役の頃の青柳監督と同じオープンサイドフランカーとして強烈なタックルを連発。現代版「モスグリーン旋風」の中心にいる。
以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
青柳監督
「いまの気持ちは、素直に嬉しいです。きょうは何がよかったかと言えば、皆さんが見てわかる通りディフェンス。しっかり前に出て突き刺さるタックル。練習でやってきたことを、学生たちが素直にやった結果です」
河野
「リーグ戦優勝が懸かった試合。きょう、勝って(事実上の)優勝を決めたことは嬉しいです。監督も言ったのですが、やはりディフェンスがしっかりできていて、相手に思うようにアタックをさせなかったことが勝ちに繋がったと思います」
――最後の最後。苦しい場面が訪れましたが。
河野
「苦しい時間をしのげたのはチームの自信になる。ひとりひとりが低く突き刺さって、2枚目(援護)も速く寄った。そこがよかったと思います」
――前半も攻め込まれながらノートライで抑えた。
河野
「チームとして、まずはディフェンスから流れを作ろうと(していた)。いいディフェンスをしていたら流れが来ると思っていた。それで前半の後半に流れが来て、得点に繋がったと思います」
――スクラム(先制トライの起点となった1本はドミネート)については。
青柳監督
「今季、スクラムでは他のチームを上回っている自信があった。東海大さんも強いので、最初はせめぎ合いの部分でレフリーとのコミュニケーションが取れなかった。ただ、向こうが(早めに圧力を)かけてくるのであれば、こっちも…と。(最終的には)よかったと思います」
河野
「今季はスクラムに自信があって。きょうの試合でも(フォワードが)8人で固まって組む、と。後ろの5人の押しが重要だったので、そこを練習してきた。(雨で)グラウンド状況がよくなく、難しい部分もあったのですが、スクラムでも流れを作れた」
――鋭く前に出る防御について。
青柳監督
「(防御網を)外に流してタッチラインで(を利用して)止めるというの(方法)もありますけど、前に出て(攻撃側に)考える余裕をなくさせるほうが相手にとって嫌だと思うんですよね。(特に)学生ラグビーではこちらの方が有効だと思って、(守備時に)プレッシャーをかけるよう心がけています」
――古豪復活か。壁を乗り越えたか。
青柳監督
「乗り越えたかどうかはわかりませんが、ここで気ぃ緩めちゃだめなので。勝ちは素直に嬉しいですが、次(リーグ戦最終節は11月25日)もありますので、そこを勝ち切って大学選手権に行きたいと思います」
河野
「22年ぶりのリーグ優勝は嬉しいんですけど、次の目標は大学選手権、日本一。それに向けて頑張っていきたいです」
大学選手権では8連覇中の帝京大学(関東大学対抗戦A)を筆頭に、各加盟団体の競合がひしめく。実直さを尊しとする青柳監督は、一戦必勝の構えを貫く。