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GWで絶対に観たいJリーグのタレント10

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:アフロスポーツ)

世の中は黄金週間に入りましたが、Jリーグはこの期間に多くの試合が行われます。今この選手に注目して観て欲しいという選手を年齢や実績、カテゴリーを問わず、筆者の目線で10人ピックアップしました。

なお過去の記事でもノミネートしているJ2で10得点の小川航基(横浜FC)、若手特集の記事で何度も取り上げているJ3得点トップの横山歩夢(松本山雅)の二人は”殿堂入り”で対象外としますが、引き続き彼らの活躍にも注目してください。

森島司(サンフレッチェ広島)

今最も勢いのある選手の一人。もともと非凡な攻撃センスの持ち主で、東京五輪の代表候補として期待されながら、パフォーマンスに波があり、アシストやゴールに直接関わるプレーも物足りなさがあった。

実際に、久保建英ら欧州組が主流の2列目でメンバー入りも果たせなかったが、今シーズンは力強さと”前選択2の積極性が加わり、ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督のチームに欠かせない存在になってきている。

持ち前のテクニカルなボールタッチに加えて、鋭く的確なプレッシング、狙いすました飛び出しなど、ゴールに矢印を引くプレーがアップしている。第10節の清水戦で決めたゴールは象徴的だ。セットプレーのキッカーとしての能力も高いだけに、Jリーグでも屈指の怖いアタッカーとして結果を積み重ねれば、カタール滑り込みも十分にありうる。

松本昌也(ジュビロ磐田)

可変性の高い3ー4ー2ー1をベースに複数のシステムを使い分ける伊藤彰監督のスタイルにあって、今最も頼りになるユーティリティの一人だ。昨年の磐田では左ウイングバックがメインポジションになっていたが、もともボランチが本職の選手で、2列目もこなすことができる。

指揮官はそうした松本の特性に目を付けて、2シャドーで起用したり、途中でボランチに下げたり、右ウイングバック、左サイドバックと試合中に何ポジションも変わりながら、どこで使われても高水準なプレーを見せる。その動きだけ見ていても面白いが、勝負に直結する仕事もやってのけるのだから、目が離せない選手だ。

橋本健人(レノファ山口)

現在のJ2で最高レベルの攻撃ビジョンと技術を備えた左サイドバックであり、まさしく山口の左のハンドルだ。彼のオフでの動きやボール捌き、左足のクロスを観ているだけでも、お釣りが来るほど面白いはず。相手に対策されても、試合中に立ち位置をズラしたり、攻め方を変化させたり。

慶應大学の3年次から特別指定選手として公式戦に出ており、大卒ルーキーながら実質3年目で副キャプテンも任されている。第13節の栃木戦ではパスワークからのドリブル&シュートという理想的な今季初ゴール。7得点10アシストという目に見える結果を目標に掲げているが、そのうちのいくつかがGW中に観られるかもしれない。

藤井陽也(名古屋グランパス)

若手センターバックでは最も成長してきている一人だ。現在3バックを採用する名古屋で、日本代表の中谷進之介と経験豊富なキャプテンの丸山祐市に挟まれる中央のポジション。しかし、試合中は全く二人に見劣りしないどころか、対人戦では最も存在感がある。

表情にも自信が満ち溢れており、昨年の今頃とは大きく違っている。間近で成長を見ている丸山キャプテンに聞くと、やはり試合に出続けていることが大きいのではないかと語っていた。長谷川健太監督が就任して、まだ攻撃面は試行錯誤にあるように見えるが、藤井を含む3バックが相手の強力アタッカーをどう封じるのかは名古屋の見どころの1つであることは間違いない。

山原怜音(清水エスパルス)

4ー4ー2の左サイドバックがメインだが、ウイングも担えるほど高い攻撃センスを生かして、インとアウトの両方からアタッキングサードに絡んでくる。もう1つ注目したいのが高精度のサイドチェンジで、左後方から右足で反対側の対角線に通すボールは絶品だ。

強いて言えば自陣に押し込まれた時のディフェンスに課題があるが、大卒ルーキーとして、これから大きく成長が期待できる選手なので、武器を出しながらプレーのスタンダードを上げていってもらいたい。

松田詠太郎(アルビレックス新潟)

右サイドのドリブラー が雌伏の時を経て、新潟の地で本格的に開花しようとしている。1対1で仕掛けたら高い確率で突破できる能力が、チームの攻撃スタイルによっては埋没してしまう向きもあった。

しかし、横浜F・マリノスのアカデミー時代から彼をよく知る松橋力蔵監督が彼の良さを生かす設計をしており、ワイドに幅を取りながらボールを持てば縦だけでなくゴール方向にも仕掛けてチャンスやフィニッシュに絡んでいる。まだパフォーマンスの波はシーズン見る必要はあるが、ボールを持ったらJ2で最もワクワクするタレントの一人だ。

本田風智(サガン鳥栖)

川井健太監督のもと、攻守のハードワークを生かした組織的なサッカーが評価を高あているが、その中で最も個で違いを生み出しているアタッカーだ。鳥栖のアカデミー出身選手は基本技術や戦術理解の高さが注目される。

だが、本田はボールを持ったら1対1で突破する姿勢やゴール前に飛び込んで、泥臭くても流し込むプレーはもともと得意としていた。昨年の終盤に太ももを負傷した影響に苦しんでいたようだが、現在はスピードとパワー、そして怯むことのない前向きな攻撃ビジョンで、主にシャドーのポジションから鳥栖のフィニッシュに迫力をもたらしている。

高橋潤哉(福島ユナイテッド)

アカデミー時代を過ごしたモンテディオ山形から昨年の沼津に続き、期限付き移籍で福島にやってきたが、現在のJ3で松本山雅の横山歩夢と並び、最も注目したいアタッカーの一人だ。とにかくオンオフで推進力と迷いの無さを感じさせる。

実際に4得点しているが、4ー4ー2の左サイドからゴール前に絡む形で、カットインからの右足シュートをメインに、ボックス内への飛び出しなどからもゴールを狙える上に、アシスト力もある。今シーズンの目標はゴールとアシスト合わせて15以上とのことだが、さらに上も狙える。

松村優太(鹿島アントラーズ)

レネ・ヴァイラー監督の1年目ながらJ1で首位を走る鹿島。現在の看板は鈴木優磨と上田綺世の強力2トップだが、そこに加わろうとしているのが高速ワイドストライカーの松村だ。サイドではなくワイドと言いたいのは、彼のプレーエリアが外側に偏らないことで、得意のドリブルも臨機応変に使うことで威力を増している。

ショートカウンターやセカンドボールからの仕掛けにも鋭さがあり、右足だけでなく左足のシュートもあり、2トップを警戒する相手のディフェンスにとっても、非常に厄介な存在になりつつある。

昨年の新人賞である荒木遼太郎、FWの染野唯月と高卒ルーキーの年から注目された同期のトリオも3年目。それぞれ独り立ちが求められるが、もしかしたらいち早く本格ブレイクを果たすのは、この松村かもしれない。

佐々木翔(サンフレッチェ広島)

日本代表の常連選手で、強度の高い守備に定評はあったものの、攻撃面のクオリティが疑問視される向きはあった。しかし、今シーズンはミヒャエル・スキッベ監督の明確な攻撃設計により、水を得た魚のように効果的な攻撃参加を見せている。

的確なビルドアップ、ハーフスペースを狙う鋭い縦パスで、多くのチャンスの起点に。柏好文、満田誠との左のトライアングルは相手の脅威だ。長くプレーしているので、もしかしたら良くも悪くも一般的な先入観が強いかもしれないが、まだ今シーズン観ていない人は過去からの進化をぜひチェックしてみて欲しい。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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