「ヘル朝鮮」から脱出する韓国国民。日本にとって対岸の火事なのだろうか?
報道によれば、総人口5200万人弱の韓国では、毎年平均2万人ほどが韓国籍を放棄しているようです。
年間2万人が国籍を放棄…「韓国社会はこれ以上希望ない」(1)(韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.03.20 15:35)
実は同様のニュースは日本でもすでに報じられていました。
日本人、静かに進む海外流出 永住者が過去最高の55.7万人に(朝日新聞 2023年1月23日 17時38分)
より良い生活や仕事を海外に求めた人などの永住者が前年比で19372人増えています。
たまたま、日韓両国で海外脱出を果たした者が2万人と同じですが、人口規模が日本の方が2倍以上大きいので、韓国の方が体感4万人程度とより深刻な状況と言えます。
だからといって、日本もゆっくりですが確実に進行している「国外脱出」を、黙って座視しているわけにはいかないでしょう。
実際、東京財団18歳意識調査「第46回 –国や社会に対する意識(6カ国調査)–」によれば、日中印英米韓の中で、自分の国の将来について、日本は「良くなる」が6ヵ国中ダントツの最下位ですし、「悪くなる」、「どうなるか分からない」も、やはりそれぞれ6ヵ国中最も高いスコアとなるなど、日本の若者は自国の将来に悲観的であることが分かります。
先の中央日報日本語版の記事によれば、韓国を脱出し、アメリカボストンで暮らすソン・ミンギさんは取材に答え、韓国人が海外を目指す理由について
「親の世代までは『今は厳しくても、より良い明日がある』という希望があったが、今は自分の能力、努力に適切な見返りを受けるのが難しい時代」とし「それで『ヘル朝鮮』という言葉が誕生し、言語と能力を備えている人たちを中心に努力が認められる海外に出かけようという雰囲気が広まったようだ」
と話しています。
同じ記事の中で、ヘンリさんは
「20年後に自分の子どもが高齢人口を扶養するための税金などを負担することを考えると、後退する韓国ではなく成長する米国を選択するのがよいと考える」
とも答えています。
K-POPが世界的に成功し、Samsungというグローバル企業も有し、しかも、日本経済研究センターによれば、2027年には名目GDPで日本を上回ると予想されている韓国ですら、韓国の若者が先行きに期待が持てないと考えるのですから、まして日本はなおさら油断ならないはず。
筆者は
「減るニッポン」から「ヘルニッポン」、そしてニッポン終了へ...
という記事でも触れましたが、「ヘル朝鮮」という言葉が生まれたのは2015年頃のようです。それから海外脱出への雰囲気が広がったとのことですから、「ヘルニッポン」が現実のものとなれば、やはり日本を見捨て海外へ移住する者たちが増えていくことでしょう。
明日への希望を見いだせないのは、韓国の若者たちばかりでなくいまの日本の若者も同じでしょうし、全世代型社会保障制度の構築が進めば、今後社会保障負担が増すことが容易に予想されます。さらに、「異次元の少子化対策」で若者が子どもを持つことへのプレッシャーも一層高まるでしょう。
結局、日本で子どもを産んでも、子どもたちが、血縁関係もない見ず知らずの高齢者を扶養し、ねずみ講的な社会保障制度を維持するために「奴隷」のように扱われるのであれば、やはり明るい未来予想図は描けないはずです。
お隣の韓国で静かに進行している「棄国」の動きを対岸の火事と傍観せず、日本もそうならないよう今何をすべきか、しっかり考え実行すべきではないでしょうか?
そのためには社会保障のスリム化が必要不可欠だと筆者は考えますが、読者の皆さまはどのようにお考えでしょうか?