「ゴロツキ」と罵倒された尹政権が金政権を「非合理、非理性的」と酷評に罵詈雑言の天才・金与正が反撃か
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は7日夜にKBSテレビで放送された「特別対談」で、北朝鮮について触れ、金正恩(キム・ジョンウン)政権を「合理的で理性的な勢力ではない」と断じていた。
その理由の一つとして「(北朝鮮は)住民のため経済をよくしなければならない。そのためには核を取り下げて、開放し、投資を受けなければならない」ことを挙げ、「私は国家を経営する政治集団として(北朝鮮は)合理的で理性的ではないと思っている」と結論付けた。もっともな発言だ。
また、「合理的で理性的な勢力でないので我々の安保を脅かす挑発を行う時も不合理で非理性的な結論を出す勢力であるという前提で準備をしなければならない」と、北朝鮮への警戒心を露わにしていた。言い換えれば、金政権は予測不能な勢力なのでどのような挑発があっても万全に対応できるよう強固な安保体制を構築する必要性を国民に向かって言いたかったようだ。
韓国はすでに法律で北朝鮮を「国家」ではなく、「反国家勢力」と定めているが、尹大統領は金総書記が南北関係を「敵対的な2つの国家」と規定したことについても言及し、「単一民族から所謂、2つの国家という原則に変えたわけだからとてつもなく大きな変化と言える」と述べていた。
尹大統領はそれ以上の言及は避け、「国家安保に責任を持つ大統領としては北朝鮮の主張に従って判断するよりも北朝鮮の軍事力と経済状況、科学技術の力量などを厳密に分析し、対処することが必要である」と答えていた。
尹大統領は1月16日に大統領室で行われた国務会議では「南北は敵対的な2つの国家」と規定した金総書記の発言について「北の政権自らが反民族的、反歴史的政権であることを自認した」として痛烈に批判していた。おそらく、金総書記が一週間前の9日に重要軍需工場を視察した際に尹政権を「ごろつき執権勢力」と罵倒したことがこうしたキツイ表現に繋がったのであろう。
最後に質問者から南北首脳会談の可能性について聞かれると「核放棄に関係なく、首脳会談はできる。しかし、そのためにはトップダウン方式ではだめだ。実務者間の交流と論議が進行し、議題も話し合い、準備が整ったうえで首脳会談をやるべきで、そのまま推進して引きずられれば、何の結果も得るものもなく、単なるショーで終わってしまう」と述べ、現状ではその気がないことを明らかにしていた。
北朝鮮も金総書記が尹政権を「歴代最悪の政権」とレッテルを貼り、韓国との絶交を宣言している以上、尹大統領の任期中の南北首脳会談の可能性は100%あり得ないだろう。
尹政権は対北融和政策一辺倒だった文在寅(ムン・ジェイン)前政権の朝鮮半島平和プロセスは完全に失敗したとして制裁と圧力を軸にした新たな対北政策を打ち出したが、残念なことに現状ではこれも失敗したことになる。
尹政権の対北政策の中には「北朝鮮が核開発を中断し実質的な非核化に転換するならば、その段階に合わせて北の経済と民生を画期的に改善する」ことを約束した大胆な構想も含まれていたが、この構想も水の泡となった。
どちらにしても、この尹大統領の発言にはおそらく北朝鮮も黙ってはいないであろう。過去の例からして金総書記の実妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長が出てきて、尹大統領を罵るのではないだろうか。過去の例として前・現大統領に対する口汚い発言を2点挙げてみる。
▲2021年3月15日
米韓合同軍事演習の再開に同意した文大統領に対して「生まれつきの馬鹿と言うべきか、でなければつねに左顧右眄しながら生きてきたので判別能力さえ完全に喪失してしまったのではないか」
▲2022年4月2日
大統領選に勝利した尹錫悦大統領に対して「核保有国を相手に『先制打撃』をむやみに口にするのは自らにとって決してプラスにならない軽率な血気に逸っている。(彼は)正気ではない。それにくずだ。同族同士焚きつけることがしたくてたまらない対決狂である。この者の分別のない、度が過ぎた『先制打撃』妄言は南北関係と朝鮮半島の軍事的緊張を一層悪化させた」
今度はどのような罵詈雑言を吐くのだろうか?