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【河内長野市】天野山金剛寺境内にある天野山八十八個所之霊場で30分ほどで遍路体験ができます

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

四国にあるある空海(弘法大師)ゆかりの八十八箇所の寺院を巡礼する遍路(へんろ)は、最近では信仰心だけでなく、都会生活で疲れた人が、ストレス発散や自分探しのような目的で利用する人が増えてきているそうです。

高知市内にある四国八十八個所第三十一番礼所五臺山竹林寺の五重塔
高知市内にある四国八十八個所第三十一番礼所五臺山竹林寺の五重塔

とはいえ四国を何日もかけて寺を回るのは、白衣(びゃくえ)と呼ばれる白装束を着て金剛杖や傘などを用意しなければならず、それなりの覚悟が必要です。しかし、天野山金剛寺の境内には八十八カ所を一度に気軽に回れるミニチュアというべき遍路道があります。

天野山金剛寺の八十八ヶ所霊場は、2018年の台風で被災してしばらく通行止めとなっていたそうですが、昨年復旧工事が無事に終わったという情報を知っていました。一度行ってみようと思っていたところ、先月の4月21日に天野山金剛寺で年に一度の伝統行事があることを知り、そのタイミングで行くことにしました。

昨年ふるさと歴史学習館で行われていた天野山金剛寺の展示
昨年ふるさと歴史学習館で行われていた天野山金剛寺の展示

4月21日に天野山金剛寺で行われた正御影供(しょうみえく)は、ふるさと歴史学習館の特別展示の説明によると次の通りです。

開祖の肖像画(御影)をまつり、その恩に感謝をささげるお祭りです。真言宗では開祖である空海が入定した日に行われています。延喜10年(910)に、京都にある東寺で始まったとされ、金剛寺では、承安2年(1172)に阿観上人が正御影供を始めたとされています。

当日は雨模様でしたが、稚児行列などもありましたので、少し動画も撮影しました。

こちらは百味飲食(ひゃくみのおんじき)という山海の様々な珍味を盛り付けて供える行事です。

1時間余りの行事でしたが、普段見る機会もない珍しい行事だったので、雨もあまり気にすることなく眺めらることができました。

正御影供の行事が終わったころにはちょうど雨が止みましたので、最大の目的であった境内にある遍路道を歩いてみることにしました。

場所は、楼門から金堂などがある伽藍の奥、薬師堂の横に入口があります。

正式名称は天野山八十八個所之霊場です。天野山金剛寺の公式ページによると、四国八十八個所霊場のお砂を勧請(現地から頂いて)して、誰でも巡拝できるように設置しているとのこと。

以前の晴れの日に撮影しておいた千年杉
以前の晴れの日に撮影しておいた千年杉

入口には千年杉があります。

以前の晴れの日に撮影しておいた千年杉
以前の晴れの日に撮影しておいた千年杉

千年杉は幹周が4. 84メートル、樹高が25メートルあり、樹齢500年以上あるとのこと。

入口から階段を上がって、檜皮(ひわだ)の森の中に入っていきます。

こちらに見えるのは、求聞持堂(ぐもんじどう)と呼ばれるものです。1700(元禄13)年の建築物で、2019(令和元)年12月27日に国の重要文化財(外部リンク)に指定されたとのこと。遍路道は左に見える小さな石の橋を渡ります。

すぐに登場したのが1番目の札所です。

この1番目は徳島県鳴門市にある「竺和山霊山寺(じくわさんりょうぜんじ)」(外部リンク)です。本尊は釈迦如来です。このようにひとつの寺ごとに2体の石仏(左は空海で、右は各寺院の本尊)が鎮座しています。第1番だけは祠(ほこら)の中に安置していますが、あとは祠がありませんでした。

そのあと2番3番と続いて行きますが、台風で崩落した場所に、金属製の通路が作られていました。

登っていくと、多宝塔など境内の建物を見下ろせるようになっています。

手すりはずっとあるので、足場が少し悪い場所でも安心して歩けます。

八十八個所の石仏は、数メートルおきにあるので、何もない山道を歩くよりは進む方向がわかって歩きやすいです。

ずいぶんと高いところまで上がってきました。多宝塔や楼門の姿も見えます。

さらに上がっていきます。どんどん山の上に登っていくようです。

これは22番目の石仏です。22番目は徳島県阿南市にある「白水山平等寺(はくすいさんびょうどうじ)」(外部リンク)で、本尊が薬師如来です。

急な所には手すりがあるのでとても歩きやすいです。ただ木の根っこが浮き出ているところだけは歩きにくいので注意しましょう。

山道を登っていくわけなので息も荒くなるのですが、並んでいる石仏に「がんばれ!」と応援してもらっているような気分になるから不思議です。

こちらは44番目つまり中間点です。愛媛県久万高原町にある「菅生山大覚院大寶寺(すごうざんだいかくいんだいほうじ)」(外部リンク)です。本尊は十一面観世音菩薩です。

中間点を過ぎた先に大きな像が見えます。

空海像です。ここがいちばん高いところのようで、後は下りです。

順番に下っていきます。

ここで気になる寺院の名前を発見しました。54番は延命寺(外部リンク)で、河内長野に同じ名前の寺院がありますね。

四国の延命寺は愛媛県今治市にあり、山号が近見山宝鐘院(ちかみやまほうしょういん)です。本尊は奈良時代の僧・行基菩薩が作ったとされる不動明王です。

突然、コンクリートの壁が現れました。貯水槽との情報があり、それによれば結構古くから存在しているとのこと。

今度は階段を下っていきます。危なそうなところには手すりがあって助かります。

75番札所の善通寺(外部リンク)です。香川県善通寺市にある空海生誕の地ですね。本尊は薬師如来です。

88番まであとわずかです。

天野山金剛寺の伽藍がみえてきました。ゴールまであとわずかです。

そしてこちらが88番目、つまり最後です。

香川県さぬき市にある「醫王山大窪寺(いおうざんおおくぼじ)」(外部リンク)で、本尊は薬師如来です。四国で実際に回ると、「結願所」(けちがんしょ)があって、遍路の役目を終えた金剛杖を納めるそうです。

ということで無事に八十八個所を回ってきました。40分くらいかかるようなことが書いてありましたが、実際には30分程度で回れました。

金剛寺境内に戻ってきましたが、台風の被災から復興した理由はあるにせよ、金属製の手すりや道が設置していたのには驚きました。

ちなみに正御影供の当日は、1口1,000円の寄付で福引ができるようになっていました。

地元の人は数十枚も福引券を持っている人が何人もいて、相当高額な寄付をされたようですが、貧乏な私は1,000円で1口だけ寄付しました。

一枚の福引券を握りしめてくじを引きましたが、結局当たったのはいちばん下のティッシュでした。1,000円のうちティッシュの原価はどのくらいかわかりませんが、数百円は寄付として天野山金剛寺に行ったものと考えられます。

天野山金剛寺では、5月3日から5日まで春季国宝特別公開として「日月四季山水図屏風」を公開しています。GWも後半戦ですが、特に予定もなく時間があれば天野山金剛寺に行って国宝の屏風絵を見た後、サクッと八十八カ所のミニ遍路を体験してみてはいかがでしょう。

天野山八十八個所之霊場

住所:大阪府河内長野市天野996 天野山金剛寺境内

アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 天野山バス停から徒歩3分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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