ドラフト直前に、ドラフト指名権を使ってトレードを成立させる
7月13日、カンザスシティ・ロイヤルズは、ワシントン・ナショナルズからハンター・ハービーを獲得した。ナショナルズは、ハービーと交換に、マイナーリーガーのケイデン・ウォレスとドラフト全体39位の指名権を手に入れた。
ハービーは、29歳のリリーバーだ。4シームとスプリッターをメインの2球種としていて、4シームの最速は100マイルに達する。
ここ3シーズンは、2022年が39.1イニングで奪三振率10.30と与四球率2.75、防御率2.52、昨シーズンが60.2イニングで奪三振率9.94と与四球率1.93、防御率2.82、今シーズンは45.0イニングで奪三振率10.00と与四球率2.40、防御率4.20を記録している。
今シーズンの防御率は、最初の30.1イニング(28登板)が2.08、その後の14.2イニング(15登板)は8.59だ。後ろのスパンには、自責点3以上の登板が3度ある。
ロイヤルズは、一時的な不調と見ているのだろう。防御率よりも、三振を奪うことができる点を重視したのかもしれない。ロイヤルズで30登板以上の6人とも、奪三振率は8.55を下回っている。おそらく、クローザーのジェームズ・マッカーサーにつなぐ、セットアッパーとして起用するのだろう。また、ハービーがFAになるのは、来シーズンの終了後だ。
一方、ウォレスは、2022年のドラフト2巡目・全体49位。来月初旬に、23歳の誕生日を迎える。ポジションは三塁だ。肩が強く、パワーのポテンシャルも低くない。
ウォレスとともにナショナルズが獲得したドラフト指名権は、コンペティティブ・バランス・ピックだ。これは、市場規模が小さい10球団と収益の少ない10球団に与えられ、1巡目と2巡目の間(A)と2巡目と3巡目の間(B)に存在する。競争力のバランスをとるための指名権、といったところだろうか。日本では「戦力均衡ラウンド」と表記されることが多い。
今回の指名権は、順位からわかるように、Aのほうだ。コンペティティブ・バランス・ピック以外の指名権は、トレードに用いることができない。
ロイヤルズは、ウォレスに加え、さらに、他の選手を手放すことはしたくなかったのだろう。トレードにより、ブルペン以外にも補強を施すのであれば、そのための見返りも必要になる。
今年のドラフトは、7月14日~16日に行われる。
ロイヤルズが1~2巡目に持っていた指名権は、3つから2つに減った。全体6位と全体41位だ。ナショナルズは、2巡目が終わるまでに指名できる選手が、2人から3人に増えた。こちらは、全体10位、39位、44位だ。