リーグワンきょう開幕。ネクストブレイクベスト15は?【ラグビー雑記帳】
キープレーヤーは誰ですか。そう聞かれて困るのは当然だ。
リーグワン開幕節を翌日に控えた12月16日、東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーヘッドコーチは紳士的かつストレートに表明した。
「逆に、キープレーヤーじゃない選手は誰になるかなぁ…。難しい質問です。ひとりひとりが役割をこなすこと(が重要)」
その後に「強いて挙げるならリーダーの選手でしょうか。成功するには9、10番(スクラムハーフ、スタンドオフ)の役割は重要です」と付け足したが、「そして、それ以外の選手はいつもよりいいパフォーマンスをしてもらいたい」とも続ける。
つまり、論旨はキープレーヤーを挙げること自体が難しい、である。
ラグビーは肉弾戦、エリアゲーム、ボールゲームの三要素が密接に絡み合っている団体競技。ひとりひとりがプレーに参加する時間はわずかずつで、かつ、勝負を分けるプレーにも複数名が絡む。レベルが高い舞台であるほど、戦前にたったひとりのキーマンを挙げることなど無理筋と取れる。
対戦する埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督もまた、こう応じる。
「チームゲームというラグビーの根本は変わらない。1人が14人のためにどうできるかが大事」
いよいよ国内最高峰のリーグワンが開幕する。本稿では、上記の普遍を前提に新たな「キープレーヤー」の候補によるベストフィフティーンを選定する。
新たな。つまり新加入か、前年度の先発機会が5度以下だったノンキャップの選手に絞る。いわば今季ブレイク必至の15名。組織的な繋がりのなかでの妙技、献身に注目されたい。
1、シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)…ボールキャリー、ジャッカルで活躍。当面はナンバーエイトとの兼務か。
2、原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)…タックル、ハンドリング。
3、タウファ・ラトゥ(東芝ブレイブルーパス東京)…出身の白鴎大ではセンター。問答無用の突破力。
4、マックス・ダグラス(横浜キヤノンイーグルス)…プレシーズンマッチ期間最大級の発見。バッキングアップのスピード、威力満点のタックル。
5、トム・サベッジ(東京サントリーサンゴリアス)…モールの芯。タックル、スイープでも効果大。
6、リアム・ミッチェル(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…タックルの威力とワークレート。防御システムの再現性高めそう。
7、山本凱(東京サントリーサンゴリアス)…破壊力抜群のタックルとジャッカル。身長177センチと決して大柄ではないものの、海外勢に力勝負を挑める。
8、リッチモンド・トンガタマ(静岡ブルーレヴズ)…推進力。
9、藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…ハイテンポのさばき、仕掛け、相手ボールスクラムの際の対面へのプレッシャー。負けん気を判断力に昇華できればさらに上のステージを狙えるか。
10、高本幹也(所属未定)…帝京大学不動の司令塔。リーグワンではこのほどアーリーエントリー制を採用。大学選手権終了後に合流する新天地で、今季中のリーグワンデビューが待たれる。ラン、パス、キックの選択の妥当性、走る際の絶妙な減速および加速。
11、木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…相手防御をぶっちぎるフットワークとラン。同僚で昨季新人賞の根塚洸雅が剣なら、こちらは鉈。
12、サミソニ・トゥア(浦安D-rocks)…昨季はNTTドコモレッドハリケーンズ大阪で出番なしも、一昨季は当時いたTJ・ペレナラとの早朝練習で一気に減量。力強い走りを繰り出す回数を増やすことに成功している。厳しいヨハン・アッカーマンヘッドコーチのもとハードワークを継続できるか。
13、西川大輔(リコーブラックラムズ東京)…全国経験の少ない中京大学出身ながら、ルーキーとして迎えた昨季にすぐに主力入り。空中戦での強さ、ワークレートの高さで魅し、怪我で途中離脱したことが大きな戦力ダウンと目された。おもにウイングで出番を増やすか。
14、イノケ・ブルア(横浜キヤノンイーグルス)…流通経済大学2年時に問答無用のスピードでブレイク。沢木敬介監督率いるイーグルスへ入るや、当時のキレを取り戻している。
15、韓尊文(三菱重工相模原ダイナボアーズ)…コベルコ神戸スティーラーズから移籍。捕まっても簡単に倒れぬダイナミックな走り。