年末年始は今冬一番の寒気の南下に警戒を
寒気の強さの目安
日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500mの気温が使われます。
上空約5500mの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。
令和2年(2020年)12月14日の週明けから南下してきた寒気は、北海道北部では、氷点下36度どころか、氷点下42度以下という、真冬でもなかなか出現しない強烈な寒気でした。
この影響で、日本海側を中心に大雪となり、群馬県みなかみ町藤原では12月15日16時から17日16時までの48時間に199cmも積もるなど、日本海側を中心に記録的な大雪となっています。
この大雪の影響で、新潟・群馬県境の関越自動車道では、16日夜からの交通障害で1000台以上の車が立ち往生したことから、新潟県では自衛隊に災害派遣を要請しています。
関越自動車道で発生している立ち往生の解消や、車内にいるドライバーの安全確保のためです。
その後、19日頃にも、氷点下42度以下という強烈な寒気の第2波が南下しましたが、その後はほぼ全国的に平年より気温が高くなっています。
このため、日最高気温が0度未満の真冬日を観測した地点はほとんどなくなり、日最低気温が0度未満の冬日を観測した地点も減っています(図1)。
クリスマス後の一時的な冬型
令和2年(2020年)のクリスマスイブは、低気圧や前線の通過により雲が多く、雨や雪が降ったところがあります。
低気圧や前線が通過したクリスマスは、西高東低の冬型の気圧配置となり寒気が南下しています(図2)。
しかし、この寒気は、12月14日頃から南下した第1波、19日頃から南下した第2波に比べれば弱く、一時的です。
氷点下42度以下という強烈な寒気も北海道北部までしか南下しない予想です。
そして、週明けの28日の月曜日には、再び低気圧や前線の通過によって全国的に雨や雪となり、気温は平年並みか平年より高めに経過すると思われます。
ただ、年末年始に南下する寒気は今冬一番の寒気です。
年末年始の寒気
気象庁では、12月24日夕方に記者会見をし、年末年始の気象の見通しを発表しています。
内容は、12月30日頃から日本付近は強い冬型の気圧配置となる見込みであることから、大雪による交通障害や施設への被害などに警戒を呼び掛けるものです。
【気象庁の警戒の呼びかけ】
30日頃から日本付近は強い冬型の気圧配置となる見込みです。年明け(少なくとも1月5日頃)にかけて強弱はあるもののこの状況が続き、上空の寒気は12月14日から21日の大雪の時より強く、大雪となる地域も広範囲となるおそれがあります。
大雪による交通障害や施設への被害、ふぶきや吹きだまりによる交通障害、高波に警戒・注意してください。また、路面の凍結、屋根からの落雪、停電や倒木、山地におけるなだれに注意してください。
日本列島に南下してくる寒気の中心は氷点下42度以下と、第1波・第2波とほぼ同じですが、氷点下36度以下に着目すると第1波・第2波より低緯度まで南下しています(図3)。
例えば、東京の最高気温と最低気温の推移をみると、最高気温と最低気温が平年を下回ってくるのは、12月31日以降です(図4)。
そして、年末年始は、最高気温、最低気温ともに平年より低い日が続く予報です。
広い範囲で、強い寒気南下の影響を受け、日本海側を中心に大雪となるのが、今年の年末年始の特徴です。
新型コロナウィルスの感染防止対策で、年末年始の移動自粛が求められていますが、やむを得ない理由で移動する人も少なからずいると思います。
ただ、寒気の南下により発生した交通障害に多くの人が巻き込まれると、それを救助する人も含め、密な状態が生じて感染拡大の要因になりかねません。
そして、ひっ迫している医療機関を、さらにひっ迫させ、医療崩壊を招く恐れもあります。
年末年始の強い寒気の南下は、年末年始は家でじっとしていなさいという天の采配かもしれません。
タイトル画像の出典:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート。
図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:ウェザーマップ提供。
図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ資料をもとに著者作成。