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「時間があればまた」ではなく、時間は無理にでも作ってぜひ会おう~お見合いおじさん活動月報(21)~

大宮冬洋フリーライター
もどかしい男女のお見合い模様です。イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、まだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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病気がちの両親とは「近所だけど別居」。ほど良い距離感の孝行息子が登場

 結婚した今でも恋バナが好き。「現役選手」たちから離れるのが寂しい。そんな思いを抱えている既婚者にお勧めの趣味があります。それが「おみおじ(おみおば)」です。かつては各地にたくさんいたお見合いおじさん&おばさんを自ら復活させて、自分の周囲にいる独身者のお世話をする――。スポーツで例えれば、スカウトマンとかコーチの立場で現場に復帰するのです。

 自分がお世話をしている人の代わりに世の中を見渡すと、魅力的な独身者を見つけるたびにワクワクします。恋に似た感情を味わえると言ってもいいでしょう。

 我がオネットの女性会員は4人いるので、僕は彼女たちの代わりに同性である男性もじっと観察してしまいます。朗らかで優しい人柄なのか、熱心に働いているか、家族仲はいいのか悪いのか、健康状態はどうなのか、などですね。

 2年ほど前にある食事会で知り合ったのは、地方公務員の清水正康さん(40歳)。自称「こじらせ系」ですが、普通に会話ができる人物です。一人っ子なので病気がちの両親の近くで一人暮らしをして、毎日のように実家で介護をしているという孝行息子でもあります。これが実家暮らしだと「親離れ子離れができていないだけでは?」と疑ってしまいますが、近所だけど一人暮らしという距離感が僕には好印象でした。

 再会すると、正康さんは「大人の余裕」すら漂わせています。聞けば、この春に同期に先駆けて課長に就任し、100名以上の部下を率いているとのこと。

「市民のクレームも多くてストレスが溜まりやすい部署です。でも、クレームをいかに処理するかを面白がる気持ちがあります」

 いやー、頼もしいですね。この調子で我がオネットの女性会員もリードしてほしいです。僕が思い出したのは、金融機関で一般職をしている内山明日香さん(33歳)。美人で、最近はモテ期も経験しているのですが、仕事も恋愛もあまりうまくいっていないようです。

「この春からは課長がパワハラで有名な男性に変わってしまい、職場の雰囲気はよくありません。私もいつ退職してもいいようにスポーツインストラクターの勉強を始めています」

 明日香さんと正康さんは関東地方の地元が同じで、明日香さんの妹(既婚)は正康さんと同じ大学に通っていました。これも何かの縁ですよね。正康さんに打診してお見合いを実行しました。

「生理的に無理」でないならば一度はデートしてみませんか

 正康さんが日曜日のランチを予約してくれたのは、渋谷の道玄坂を登ったところにある静かなイタリアンレストラン。いいお店です。

「最近、コーヒースクールにも通い始めています。60歳まで今の自治体でがんばって働いたら、コーヒーに関係する仕事をしてみたいです」

 遠くない将来の夢も温めている正康さん。髪の毛は薄いのですがサッパリとした短髪にしているので老けた印象はありません。ネイビーのジャケットも清潔感があります。

 一方の明日香さんは相変わらずキレイなのですが、それほど積極的ではありません。自分から話題を振ることはなく、正康さんや僕から質問されたら感じ良く返すのが基本です。お酒好きな女性なのでディナーにしたほうがよかったかな?

 その後、スポーツの話題になって正康さんと明日香さんは少しだけ意気投合。そろそろ僕は引き上げ時でしょう。自分の両親の話を軽くして、正康さんと明日香さんのそれぞれの家族事情を話しやすい雰囲気にしたうえで早退。夜になって正康さんからお礼メールが届きました。

<本日はお忙しいところありがとうございました。おかげさまで楽しいランチとなりました。あの後、連絡先を交換して、時間あればまたぜひということでお別れしました。>

 うーん、真意がわかりにくいです。明日香さんからも同じような内容のメールが来ました。お互いに「生理的に無理」ではないということですよね? ならば、「時間は無理にでも作ってぜひデートしてみなよ」と僕は言いたい。正康さん、明日香さん、今からでも遅くありません。いかがですか?

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

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