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会う約束を「1時間遅らせて」と直前で言うエリート男性への対処法~お見合いおじさん活動月報(13)~

大宮冬洋フリーライター
イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去3人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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人間関係を壊しかねないほど「時間厳守」だった僕

 神経質なほど約束の時間を守る――。欠陥の多い僕が持っている数少ない長所です。しかし、時間厳守を他人にも求めすぎる傾向があるので気をつけなければなりません。若い頃、と言っても5年ほど前までは人間関係を壊しかねないほどの厳しさでした。

 駅の改札で待ち合わせをしたとします。遠隔地の場合は、電車の遅れなどに備えて30分ほど前には到着するように自宅を出る僕。ほぼ確実に10分前には現地に着いています。

 すると、約束時刻の5分ほど前からそわそわし始めるんです。理想は、相手も時間前にやって来て、それにも関わらず「お待たせしてすみません」と声をかけてくれること。お互いに気持ちに余裕が生まれます。

 現代は通信手段が発達しているので、連絡をもらった場合は5分遅れぐらいまでは平静を保ちます。しかし、15分以上待たされると急速にイライラし始めるのです。遅れてやって来て謝ってくれた相手に捨て台詞を吐いて帰ってしまったこともありました。やり過ぎですね……。

 41歳の今は違いますよ。次の予定が迫っていない限り、1時間でも2時間でも待つことができます。そのへんの喫茶店に入って、持ち歩いている文庫本を読めばいいのです。心置きなく読書するチャンスだと思うこともあります。

 相手に対しても、「オレのことを軽んじているから遅刻するんだ」なんてうがった見方をするのはやめました。「いろいろ事情があって遅れているけれど一生懸命に向かっている途中だろう」「あの人は時間にはルーズだけど悪気があるわけじゃない。他にはいろいろ長所がある」と思うようにしています。年齢を重ねて良かったな、と感じることの一つです。

遊び人でないエリートはたいてい仕事でいっぱいいっぱい

 だからこそ、内山明日香さん(33歳)にはアドバイスがあるのです。金融機関の一般職として元気に働いている明日香さんは、いまモテ期に突入しています。感じのいい美人なので当然とは言えば当然です。6歳も年下の会社の後輩からアプローチされることもあります。当面、僕やつぼいさんが誰かを紹介する必要はなさそうです。

 明日香さんはモテ期を謳歌して遊び回りたいわけではありません。姉も妹もすでに結婚したため、自分自身の結婚願望も高まっています。具体的な候補男性は2人もいます。昨年の春先に合コンで知り合ったメーカー勤務の優一さん(42歳)と、夏にやはり合コンで親しくなった銀行員の俊宏さん(34歳)です。

「優一さんとはLINEを交換して、多いときは2日に1回ぐらいのペースでメッセージを送り合って来ました。言葉のキャッチボールができる人です。でも、私がさりげなく会う方向にしても、のってくることはなく……」

 優一さんに比べて、俊宏さんは積極的です。最初の合コンの後、2週間後に食事に行くことを約束したら、俊宏さんが待ちきれなくなって1週間後にも会うことになったそうです。

「私よりも背が低くてお腹ポッコリなのが気になるけれど、キレイな顔をしている男性です。でも、私の話をほとんど聞いてくれず、自分と家族の話ばかりするんです。その後、ドタキャンもされたりしました。最近も忙しいみたいで、食事の約束をしたら直前になって『19時の約束を20時に遅らせてもいいだろうか』と言ってきたので、『ではまたの機会にしましょう』と返したら、あっさりキャンセルになりました。ご縁がなさそうです」

 優一さんと俊宏さんに共通するのは、大企業に勤める働き盛りの正社員男性であること。残業規制が進んでいるとはいえ、仕事中心の生活を強いられることには変わりません。女性との交際からしばらく離れていると、恋愛の勘みたいなものがどんどん鈍っていきます。デートの約束すらなかなか決められなかったり、「打ち合わせが押している」程度の理由で遅刻したり。はっきり言えば、彼らには余裕がないのです。

 一方の明日香さんは会社の仕事は過不足なくこなしつつ趣味も充実させていて、最近は結婚を強く意識しています。彼らとは「優先順位が違う」と言ってもいいかもしれません。でも、明日香さんは遊び人ではないエリートサラリーマンが好みなんですよね? ならば、頭の中が仕事でいっぱいの相手の立場や状況を理解してあげることが大切です。5年前、僕が時間にルーズな人を少しは許せるようになったのと同じですね。

 そのうえで、自分の気持ちも可愛く伝えましょう。お酒も大好きな明日香さんに「早く会って一緒に乾杯したいので、仕事がんばってね!」なんて言われたら、30分でも早く仕事を終わらせようと奮闘するのではないでしょうか。

 モテ期の明日香さん。寛容さを身に付けて可愛げを駆使すれば、今年こそ良き恋人ができて結婚へと向かうはずです。応援しています!

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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