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産経新聞読者の安倍政権支持率は「72%」東京新聞読者は「14%」=JX通信社 東京都内世論調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
安倍政権への支持・不支持率は新聞読者別に大きく異なる(写真:ロイター/アフロ)

報道ベンチャーのJX通信社では、6月23・24日(土・日)の両日に実施した東京都内での電話世論調査で、各新聞の読者ごとの安倍政権の支持率や、政党支持層別の購読・接触紙をそれぞれ調査した。昨年実施した同じ調査では、各新聞の読者層ごとの政権支持動向に大きな差が生まれたが、今年はどのようになっているのだろうか。調査の概要や実施方法は、本稿末尾に記載の通りだ。

産経新聞読者の政権支持率は72%、東京新聞読者は14%と大きな差異

世論調査では、「紙面やニュースサイトなどを通じて、最もよく読んでいるのはどの新聞社の記事ですか?」との質問を設定した。この結果、新聞読者別の安倍政権支持・不支持の動向には、引き続き新聞ごとに大きな差が現れていることが分かった。

各新聞読者層別の安倍政権支持率・不支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)
各新聞読者層別の安倍政権支持率・不支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)

最も政権支持率が高い産経新聞読者層では、「強く支持する」または「どちらかと言えば支持する」と答えた人の合計は72%に達した。一方、東京新聞読者層では「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」の合計で14%に留まった。

日本経済新聞、読売新聞両紙の読者層については、支持・不支持がそれぞれほぼ拮抗している。日本経済新聞読者では支持が51%、不支持が46%となったのに対して、読売新聞読者では支持が50%、不支持が44%となった。

毎日新聞、朝日新聞両紙の読者層は政権不支持が相対的に高く、上記の東京新聞の傾向にやや近い。毎日新聞読者では支持23%、不支持74%、朝日新聞読者では支持23%、不支持72%となった。

東京都内の安倍政権支持率・不支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)
東京都内の安倍政権支持率・不支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)

全体を通して、各社の論調や右・左といった報道姿勢の「立ち位置」と、政権支持率の傾向とが引き続き一致していると言えそうだ

なお、昨年からの変更点として、調査への回答の選択肢を3択(支持する・支持しない・どちらとも言えない)から今年は「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」「どちらかと言えば支持しない」「全く支持しない」「分からない・どちらとも言えない」の5択に変更した。このため、昨年と今年で支持率・不支持率の大小は単純比較出来ないことに留意されたい。

自民支持層が読むのは「読売」、立憲支持層は「朝日」、公明支持層は「その他」

調査では国政での支持政党についても聞いた。これをもとに集計して、支持率上位の各政党ごとに「支持層が読んでいる新聞」を表したのが下のグラフだ。

支持率上位の政党支持層別の「読んでいる新聞」(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)
支持率上位の政党支持層別の「読んでいる新聞」(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)

自民党支持層では読売新聞がトップ(38%)となり、2位の日本経済新聞が21%だった。一方、野党第1党の立憲民主党支持層では、朝日新聞が42%で最も多く、読売新聞16%、東京新聞13%と続いた。

東京都内での各政党支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)
東京都内での各政党支持率(2018年6月23・24日 JX通信社 東京都内世論調査)

これら2党とやや傾向が異なったのが共産党、公明党の支持層だ。共産党支持層では、朝日新聞が33%で最大だった一方、その他が27%に上った。公明党支持層ではその他が最多の46%となり、2位が読売新聞で24%だった。両党支持層については「しんぶん赤旗」や「聖教新聞」といった、調査で選択肢に挙げていない新聞が多く読まれていることを示唆していそうだ。

このように、政党支持層別に読む新聞にも、それぞれの支持動向と論調の「立ち位置」との関係性や、支持母体の影響が垣間見える結果となっている。

調査概要

調査方式:RDD(乱数番号自動生成)方式

調査対象:東京都内の18歳以上の有権者

日程:6月23日・24日(土・日)/有効回答1037

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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