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藤井聡太七冠、銀河戦で3年連続4回目の決勝進出! 準決勝で千日手指し直しの末、佐々木勇気八段に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月17日。第32期銀河戦準決勝・藤井聡太七冠(22歳)-佐々木勇気八段(30歳)戦が放映されました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 本局の収録日は9月7日。藤井竜王に佐々木八段が挑む竜王戦七番勝負が開幕する約1か月前におこなわれました。この時点での年度成績は、佐々木八段は16勝1敗。対して藤井七冠は18勝5敗でした。


 佐々木八段先手で始まった対局は角換わりに。佐々木八段の腰掛銀に対して藤井七冠は右玉で待機策を取ります。佐々木八段は穴熊に組み替えて戦機をうかがいますが、結局駒はぶつかることなく、60手で千日手となりました。

 指し直し局は先後が入れ替わって藤井七冠が先手。戦型はやはり角換わりとなりました。

 互いに腰掛け銀に組んだあと、藤井七冠は桂を跳ねて仕掛けていきます。両者ともに研究十二分のところで、あっという間に終盤へと進んでいきました。

 68手目。佐々木八段の玉は四段目へと泳ぎだします。藤井七冠が攻めきるか、あるいは佐々木八段がしのぐかという展開で、ここまで進んでも依然、形勢はほとんど互角でした。

 72手目。佐々木八段は相手から歩を突かれて攻められそうなところから、逆に歩を突きだしていきます。余人にはなかなか思いつかないような、佐々木八段らしい才気あふれる着想。対して藤井七冠は自然に応じ、いつしか形勢の針は藤井よしへと傾いていきました。

 93手目。藤井七冠は飛車で、相手の守りの要である銀を取って、気持ちよく王手をかけます。同玉と応じてくれば佐々木玉は詰み。佐々木八段は取らずに辛抱しましたが、最後は藤井七冠が一手の余裕を活かして押し切り、103手で快勝を収めました。

 銀河戦での藤井七冠の決勝進出は、3年連続4回目となります。

 決勝戦でもし勝てば、3回目の優勝となります。


 もう一方の準決勝は12月19日夜に放映されます。こちらでは前期覇者の丸山忠久銀河と、銀河戦が非公式戦だった時代に2回の優勝を誇る森内俊之九段が対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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