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西山朋佳女流三冠、勝って望みをつなげられるか? 12月17日、棋士編入試験第4局・宮嶋健太四段戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月17日。大阪府高槻市の新関西将棋会館において、棋士編入試験五番勝負第4局▲西山朋佳女流三冠(29歳)-△宮嶋健太四段(25歳)戦がおこなわれます。

 西山女流三冠はここまで高橋佑二郎四段に勝ち、山川泰熙四段、上野裕寿四段に敗れて、現在1勝2敗です。

 五番勝負は3勝合格、3勝失格です。

 西山女流三冠は本局に勝てば2勝2敗となり、最終第5局の柵木幹太四段戦に望みをつなげられます。

 敗れると1勝3敗となり、そこで不合格が決まります。

宮嶋四段も強敵


 宮嶋四段は1999年8月13日生まれ。岐阜県岐阜市の出身です。

 2011年8月、小6のときに参加した小学生名人戦で優勝しています。


 2023年10月、四段に昇段。現在(12月16日時点)の公式戦通算成績は18勝12敗(勝率0.600)です。

 最近では「SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦2024」で特筆すべき活躍を見せています。関西予選Cブロックでは牧野光則六段、斎藤慎太郎八段、西川和宏六段、豊川孝弘七段、森本才跳四段に勝って決勝戦に進出。12月15日におこなわれた決勝戦では西軍のメンバーとして、東軍の三浦弘行九段と対戦し、こちらでも勝利をあげました。

 宮嶋四段は11月23日に公開されたYouTube(中日新聞 東京新聞 将棋【公式】)の動画で、棋士編入試験について語っています。


宮嶋「プレッシャーは感じます。やっぱり、どういったモチベーション持ってだったりとか、対局に向けて姿勢を作っていくかっていうのはすごく、試験官にとって難しい問題だとは思いますし。とにかく注目される舞台ですので、緊張はすごいするかなと思うんですけど。まあでも、こういった舞台で指したいからこそ棋士になったと思ってますので。こういった場面で私自身が、どれだけの力を発揮できるかという楽しみも大きいです」「私自身も相応の将棋を指すことは求められると思いますし。そういったプレッシャーの方が大きいかもしれないです」

 西山現女流三冠と宮嶋現四段は、2019年後期と20年前期の三段リーグで対戦しています。

宮嶋「三段リーグでの対局は私から見て0勝2敗でして。西山さんもともと、関西奨励会に所属していたので。私が級位者時代にも何局か指した記憶があるんですけど。そのときも0勝2敗だったような気がするといいますか。序盤でよくなっても、終盤にまくられるみたいなことが、記憶としてはけっこうあります」

 宮嶋四段は居飛車党。西山女流三冠は振り飛車党です。

宮嶋「私けっこう、手厚い将棋のタイプかなとは思うんですけど。西山さん、将棋はけっこう、力強くさばいてくるといいますか。『豪腕』って言われたりしますけど。そういった振り飛車に対して、私自身がなかなかうまく対応できないことが多かったかなと思うので。そこらへんは、西山さんと三段リーグで指したのが、大体4年前だと思うので。そこから私自身が成長したところを、将棋盤の中で、しっかりと指し切れればなとは思っています」

最近の西山女流三冠

 西山女流三冠は女流公式戦、一般公式戦、そして棋士編入試験と、過密なスケジュールが続きます。

 棋士との対戦では、王座戦一次予選2回戦で渡辺大夢六段に勝っています。


 竜王戦6組1回戦では、今年10月に棋士となった吉池隆真四段に敗れています。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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