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藤井聡太七冠、NHK杯ベスト8進出! 居飛車穴熊で澤田真吾七段に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月8日。第74回NHK杯・本戦トーナメント3回戦▲藤井聡太七冠(22歳)-△澤田真吾七段(33歳)戦が放映されました。棋譜は公式ページにアップされています。

 結果は105手で藤井七冠が勝利。ベスト8進出を決めました。準々決勝では佐藤康光九段-渡辺明九段戦の勝者と対戦します。


澤田七段、四間飛車に


 対局開始前、両者は次のようにコメントしていました。

藤井「澤田七段はオールラウンダーで、どんな戦型でも急所を見抜いて指されている印象です。澤田七段とは久しぶりの対戦になるので、楽しみながら、また早指しなので決断よく指していきたいと思います」

澤田「藤井さんとは久しぶりの対局になるんですけれども。非常に楽しみにしています。特別な対策というのはないんですけれど、自分の力を出し切れるようにしたいと思います」

 本局は藤井七冠先手。後手の澤田七段は居飛車か振り飛車、どちらにするかはすぐには態度を決めず、駆け引きの末、四間飛車を選びました。

澤田「序盤、端(9筋)を詰める形になったので。そのときは四間飛車にしようかなと思ってました」

 対して藤井七冠は居飛車穴熊に組みました。澤田七段はバランス重視の金無双。藤井七冠が歩をぶつけて、局面は動いていきました。

藤井七冠、攻め合い勝ちを読み切る

 57手目。藤井七段は飛車を成り込んで龍を作る戦果をあげ、ポイントを稼ぎます。対して68手目、澤田七段は藤井陣の急所である穴熊の玉頭9筋を攻め、反撃しました。


藤井「3筋と2筋のあたりで戦いが始まって。こちらはやはりどこかで、端攻めが常に気になる形なので。ずっと難しい形勢かなと思っていました」

 藤井七冠は横から、澤田七段は縦から相手玉を攻めていきます。藤井玉も次第に危ない形になったようにも見えましたが、藤井七冠は一手勝ちを読み切り、きっぱりと決めにいきました。

藤井「最後(93手目)▲5四歩から(97手目)▲5三歩成と角を取って攻め合い勝ちの形にできたかなと思いました」

 澤田七段は端9筋に飛車を成り込み、王手をかけます。対して105手目、藤井七冠は香を打って合駒。藤井玉は詰まないのに対して、澤田玉は受けなし。ここで澤田七段が投了し、終局となりました。

藤井「こちらも穴熊に組んだんですけど、ただ、そんなに玉が堅くない形で戦いが起こったので。やはりそのあたりはどう判断するかが難しい一局だったかなと思います」

澤田「ちょっと全体的に苦しかったような気がするので。あんまり勝負どころっていうのは、正直わからないですね。もう少し振り飛車、うまく指せればと思ったんですけれど。これが実力かなと思います」

 藤井七冠と澤田七段と通算対戦成績は藤井七冠の5勝0敗となりました。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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