天の川銀河の最新全体像が公開!衝撃の新事実が判明…
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「天の川銀河の最新全体像が公開され、新事実が判明」というテーマで動画をお送りしていきます。
今月2022年11月の15日、天の川銀河の全体像にまつわる常識が覆る新発見が発表され、天の川銀河の歴史やダークマターの謎解明の手掛かりになる可能性があると期待されています。
今回はそんなホットな話題を解説します。
●天の川銀河の基本構造
今回の本題に入る前に、まずは私たちの住む太陽系が属する「天の川銀河」の基本構造をおさらいしていきます。
銀河は、太陽のように核融合反応で自ら光り輝く恒星が無数に集まった天体であり、銀河の形ごとに分類がされています。
天の川銀河はその構造から、渦巻銀河(正確には棒渦巻銀河)に分類されます。
渦巻銀河を構成する星々のほとんどが平面上の円盤構造に集まり、その円盤は中心部ほど高密度で明るくなっています。
この渦巻銀河の構造のうち星が集まった円盤部を「ディスク」、円盤中心部の特に星が高密度で集まり膨らみがある部分を「バルジ」と呼びます。
太陽系は天の川銀河ディスク上の、中心部から2.5万光年ほど離れた位置にあります。
天の川銀河のような渦巻銀河といえばディスクやバルジの姿がまず浮かびますが、実はその周囲に恒星やダークマターが、ディスク全体を球状で包み込むように分布している「ハロー」と呼ばれる構造が存在しています。
ハローはその成分ごとにさらに構造が分けられ、恒星や球状星団から成るハローを特に「恒星ハロー」、ダークマターから成るハローを「ダークマターハロー」と呼びます。
●天の川銀河の恒星ハローにまつわる新事実
○従来の理解
今回紹介する最新の発見は、天の川銀河の構造のうち先述の「恒星ハロー」にまつわるものです。
まずは天の川銀河の恒星ハローにまつわる定説をいくつか紹介していきたいと思います。
天の川銀河の場合ディスクの半径が約5万光年とされているのに対し、恒星ハローの半径は数十万光年にもわたって広がっているそうです。
それだけ広大な範囲に広がっているにも拘らず、銀河全体に含まれる恒星の総質量のうち、恒星ハローに含まれるのは全体の1%程度しかないそうです。
そのため恒星ハローは非常に希薄で、暗く観測が困難な構造です。
また、そこに所属する恒星は非常に年齢が高く、ほとんどが今から120億年以上前に誕生した低質量星だとされています。
○恒星ハローの新発見とは?
そんな天の川銀河の恒星ハローですが、その形状にまつわる理解が大きく変わる発見が、2022年11月15日にハーバード大学などの研究チームによって発表されました。
恒星ハローは綺麗な球形をしていると考えられていましたが、実際はラグビーボールのように潰れた形をしているそうです。
研究チームは、地球から観測できる億単位の恒星の位置や組成、運動などのデータを集めている「ガイア」と、さらに遠方の星のデータを評価できる「H3」のデータセットから、天の川銀河の恒星ハローの形状を分析を行いました。
恒星ハローに含まれる星々は、ディスクに含まれる星々とは速度成分や、化学組成等のパラメータが明確に異なるため、それらを調べることでどの星が恒星ハロー内の星なのかを理解することができます。
その結果、明確にラグビーボールのように非球形のハロー構造が浮かび上がってきたそうです。
具体的にはこの構造は銀河面に対して25度傾いており、縦横奥行きの3軸の長さの比が10:8:7となっていたそうです。
●新発見から示唆されること
これまでの別の研究により、今から70-100億年ほど前に天の川銀河と「ガイア・エンケラドス」という巨大銀河が衝突したと考えられていました。
このガイアエンケラドスの残骸が、天の川銀河内で発見されたこともあります。
そしてこの巨大銀河との衝突により、天の川銀河の恒星ハローが形成されたことが有力視されていました。
そんな中今回新たに判明した恒星ハローの傾きと星の分布は、これまでの研究とは独立して、70-100億年前に起きた巨大銀河との衝突現象を示唆していたそうです。
この高精度の予想の一致から、従来から言われていた「恒星ハローはガイアエンケラドスとの衝突で形成された説」を強く裏付ける結果となっています。
また今回新たに、ガイアエンケラドスは天の川銀河に対して斜めに傾いた角度から衝突してきたことが示唆されていると言います。
そして衝突現象が起きたのは非常に昔のことであるにもかかわらず、未だに恒星ハローの形状が潰れたままであることから、ダークマターハローも同様に潰れた形状で存在していることも示唆しているそうです。