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知り合いに見られるの恥ずかしい? パナソニックの山沢拓也、地元移転で弟と競演【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
しなやかに走る(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 今年の国内ラグビートップリーグの最終シーズンで5度目の日本一に輝いたパナソニック改め埼玉パナソニックワイルドナイツはこの夏、本拠地を群馬県太田市から埼玉県熊谷市に移転させた。8月30日、今季初の全体練習を公開。埼玉県立深谷高校出身の山沢拓也が会見した。

 新たな本拠地は熊谷ラグビー場のすぐ脇。天然芝グラウンドの横には広大なジムのあるクラブハウス、室内練習場、地方チームなどが合宿で使えるホテルも併設されている。チームは2022年1月から、各クラブの興行化や社会化を目指すジャパンラグビーリーグワンに参戦する。

 山沢は高校3年時に日本代表候補となった26歳。主に司令塔のスタンドオフを務め、ワールドカップ日本大会の日本代表である松田力也と定位置を争う。防御を抜け出す際のボディバランスや弾道の種類が豊富なキック、スペースへの鋭いパスを持ち味とする。取材の最後には、夏の代表戦で採用された試験的ルールへの所感も述べた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——クラブハウスとグラウンドの移転について。

「でき上がるまでの期間ずっとこれを見てきたわけではないですが、クラブハウスに行った時に『こんなにできてるんだ!?』という感じになったし、1~2週間前に初めて入ったばかりなので全然知らないことも多いですけど、神聖な気持ちでラグビーができる喜びがあります。

 高校生の頃はこのグラウンド(の跡地)をアップ場にしていた。その7~8年後に自分が所属しているチームがここでラグビーをしている。感慨深いとまではいきませんが、不思議な感覚で。『ここには、(改築前は)あれがあったよなぁ』とか思いながら、過ごしています。

 今回、埼玉の人たちに応援してもらって、色んな人たちに愛されるチームになりたい。そのためにできる手助けは精いっぱいやりたいです」

——練習グラウンドが見学しやすい設計になっています。

「知り合いが来たら恥ずかしいなと思う気持ちがあるんですが、たくさんの人に見てもらいたい気持ちはあります」

——設備について。

「全部が新しい。自分は新しいものを使うのが好きなタイプなので、ロッカー、シャワー、ジムとわくわくしながら使えています。まだ知らない場所もありますが、ジムは前回のクラブハウスよりも大きく走れる場所もある」

——2022年1月、ジャパンラグビーリーグワンが発足します。

「また海外から色んな選手が来るというニュースがある。どのチームも確実に強い。トップになる目標は当然、持っていますが、同時に、観に来てくれた人たちが『面白かった』と思ってもらえる、観ていて楽しいようなプレーをいままで以上にやっていきたい」

——今春から、弟の京平選手とチームメイトになりました。

「4月はまだ弟も怪我をしていて一緒に練習することがなく、熊谷で初めて一緒に練習することになりました。(全体練習は)まだ1回目なのであまり実感がないですが、これから自分が知っていることで京平が知らなきゃいけないこと——チームのプレーのことなど——は、ポジションが近いこともあり教えられることもあると思う。手助けしていきたいと思っています」

——日々、弟と話すことは。

「(笑顔を浮かべて)会えば話しますけど、会わなかったら、話してないです」

——試験的ルールの「50:22」が今季から採用されます。自陣で得たボールを蹴り、ワンバウンドさせて敵陣22メートルエリアの外へ出せばその時点で自軍ラインアウトを得られます。キックを長所とする選手にとっては、より得点機を作れそうです。

「キックがうまくいけば敵陣で自分たちのボールがもらえる。1試合に1回、あるかないかもわからないですし、精度的にも難しいスキルにもなる。でも、そういうプレーは自分が得意なプレーだと思っている部分もある。より強化して、チームに貢献できればいいかなと思っています」

 なお山沢は筑波大学4年時にトップリーグでプレー。初の大学生トップリーガーとなり話題を集めた。当時は大学とトップリーグの両方でプレーする「二重登録」が認められていなかったが、同部関係者はあくまで私見として「日本ラグビー界のために二重登録は必要」と語る。若き有望株がより代表陣営の目に留まりやすくなればベターだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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