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MVP投票「2位」の選手は他の年に受賞しているのか。今年は山田哲人と杉本裕太郎

宇根夏樹ベースボール・ライター
村上宗隆と山田哲人(手前) AUGUST 7, 2021(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 2021年のMVPに選ばれたのは、セ・リーグが村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)、パ・リーグは山本由伸(オリックス・バファローズ)だった。2位には、どちらも受賞者のチームメイト、山田哲人杉本裕太郎がランクインした。

 各リーグの2位のうち、山田は2015年にMVPを受賞している。2位は、2014年に続く2度目だ。一方、昨シーズンまでの通算出場が76試合だった杉本は、当然ながら受賞しておらず、これまでは得票もなかった。

 ここ30年(1992~2021年)のMVP投票でセ・リーグの2位に位置した24人――2位が2度以上の選手も1人としてカウント――のうち、他のシーズンにMVPを受賞したのは、山田を含めて7人だ。パ・リーグも、27人中7人。計51人のなかには現役選手もいるので、来シーズン以降にMVPを手にするかもしれないが、現時点の受賞者は27.5%(14/51)となる。70%以上の選手は、2位が最高位だ。

筆者作成
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 古田敦也上原浩治は、どちらも2位が3度だが、古田がMVPを2度受賞しているのに対し、上原は一度も選ばれていない。1999年のセ・リーグは、受賞した野口茂樹が552ポイント、上原は538ポイント。1位票に限ると、80票の上原が59票の野口を上回った。この年、上原は沢村栄治賞や新人王などに選ばれた。沢村賞は2002年にも受賞しているが、こちらの年のMVP投票では、松井秀喜がほぼすべての1位票を得て、上原や他の選手に大差をつけた。

 MVPを受賞したシーズンを2位のシーズンの前と後に分け、ビフォアとアフターとすると、1992年の古田はアフター(1993年と1997年)が2度、1995年の古田はビフォアとアフターが1度ずつ、2001年の古田はビフォアが2度となる。イチローの場合、MVPが1994~96年、2位は1998年なので、ビフォアが3度だが、メジャーリーグ1年目の2001年にア・リーグのMVPを受賞している。これを含めると、ビフォアが3度とアフターが1度だ。

 来シーズン、山田と杉本はMVPに選ばれると、1992年以降では、1992~93年の古田、2010~11年の浅尾拓也、2014~15年の山田と柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)に続く、2位の翌シーズンにMVPとなる。

 リーグ優勝を逃した球団でプレーしながら、MVP投票で高順位に位置した選手については、こちらで書いた。

「リーグ優勝の球団以外でMVP投票の順位が最も高かった選手。今年は4位の岡本和真と5位の益田直也」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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