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パソコンは共有32.2%・専用4.3%…小学生が家庭内で自由に使える通信機器の実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今や自宅でも気軽にパソコンが使える時代。(写真:アフロ)

インターネットの普及により自分の目の前にいない人との簡単な意思疎通や対戦ゲーム、蓄積性や検索機能を利用した情報の幅広い活用が可能となった。そしてその利便性は子供達にも容易に利用できるのが現状。今回は学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から、小学生が家庭内で自由に使える通信機器の実情を通し、子供達のインターネットの利用実情を確認する。

次に示すのは小学生が家庭内で自由に使える通信機器(今件ではインターネットに接続可能なものを意味する)を複数回答で尋ねたもの。「(共有)」とは家族との共有、「(専用)」とは小学生専用を意味する。他にインターネットを利用できるテレビなどが想定できるが、すべて「その他」で包括されている。また各端末種類の選択肢の「(専用)」において、保護者によって何らかの利用制限が設けられている可能性はある。なお学校や図書館など、家庭外での利用については対象外となっている。

↑ 家庭内で自由に使える通信機器(小学生、複数回答)(2020年)
↑ 家庭内で自由に使える通信機器(小学生、複数回答)(2020年)

小学生専用のゲーム機(携帯型・据置型を問わず)は22.8%。他の調査結果から勘案するに、ゲーム機(共有)は多分に据置型、ゲーム機(専用)は携帯型がメインだろう。スマートフォンは利用可能な機能が多いことやコストがかかるからか、スマートフォン(共有)の方が高い値を示している。また仮に(共有)と(専用)で同一回答者がいなかった場合、小学生の約3割台がスマートフォンを使っていることになる。

パソコンは(専用)が4.3%にとどまっているが、(共有)は32.2%。恐らくは保護者が普段使っているパソコンか、お下がりとなった旧端末を保護者と共有する形で使わせてもらっているのだろう。

タブレット型端末ではパソコンと比べて、(専用)と(共有)の差が小さなものになっている。低コストでスマートフォンの延長上のように使えるので、保護者も容易に子供専用のものを調達できるからだろうか。

また17.8%は無しと回答している。つまり小学生の2割近くは家庭内では自由に使える通信機器=インターネット接続機器が無いことになる。

パソコンとタブレット型端末、スマートフォンについて、属性別に区分して確認したのが次のグラフ。

↑ 家庭内で自由に使える通信機器(小学生、複数回答、属性別)(2020年)
↑ 家庭内で自由に使える通信機器(小学生、複数回答、属性別)(2020年)

パソコンは女子より男子の方が値は高い。しかしタブレット型端末やスマートフォンはおおよそ女子の方が高い値を示している。男子と女子との間の通信機器への好き嫌いの違いが出ているのだろう。特に(専用)では男女の差が大きく出ていることから、女子の方が保護者に見られたくないとのプライベートに対する思いが強いと考えられる。

学年別に見ると、パソコンは(共有)で学年が上がるに連れて値も増えていく。しかし(専用)ではむしろ小学2年生~小学3年生の値が6.0%と一番高く、小学4年生以降は5.0%を切ってしまう。(共有)が小学6年生で45.5%で半数近くに達している状況から推測すると、保護者にパソコンの利用方法を教わりながら利用しているというスタイルを取っているのかもしれない。

タブレット型端末は学年別で見ると、小学1年生~小学3年生ではパソコンよりも高い値を示している。また(専用)に限れば全学年でパソコンより高い値。コストの安さや使いやすさが保護者から受けているのか、スマートフォンと似たような操作方法が受け入れられやすいのだろうか。

スマートフォンについて学年別に見ると、(共有)はほぼ2割強という同じ値を示している。子供が要望してではなく、保護者がむしろ何らかの理由(例えば動画視聴目的)で貸し与え、共有する形で使っている可能性はある。他方(専用)は一部イレギュラーが生じているがほぼ高学年になるに連れて値が高くなり、小学6年生では31.5%に達している。小学6年生の31.5%が自分専用のスマートフォンを持ち、少なくとも家庭内では自由に使えるのが現状ではある。

■関連記事:

【携帯電話、パソコン、テレビ…子供達の自分専用の所有率動向を探る(2016年)(最新)】

【パソコンを使う子供達、何をしている、何を見ている?】

※小学生の日常生活・学習に関する調査

直近分となる2020年分は2020年8月26日から31日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として保護者付き添いの下で小学生本人が回答するようにしたもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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