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値上げが続くたばこ そのたばこを売る販売店や自販機の推移を振り返る(2024年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
最近ではあまり姿を見かけなくなったたばこの自動販売機だが(写真:イメージマート)

たばこはこの数年、毎年のように値上げしており、現在主力の「メビウス」(20本入り)は580円となっている。しばしばたばこ税の増税によって値上げされる雰囲気のあるたばこだが、喫煙者は漸減していることが各種調査によって明らかにされている。そのたばこを専門に売る販売店や自動販売機はどのような実情なのだろうか。たばこの発売元であるJTの統合報告書を基に確認する。

まずはたばこ販売許可店。たばこは誰もが自由にたばこを売れるわけではなく、許可申請をして「許可店」の許しを得た上で、はじめて業者として販売が可能になる。

↑ たばこ販売の仕組み。実線は商品の流れ、破線は申請・許認可等の流れを示す(JTサイトより転載)
↑ たばこ販売の仕組み。実線は商品の流れ、破線は申請・許認可等の流れを示す(JTサイトより転載)

その販売許可店だが、今世紀初頭をピークに少しずつ、そして確実に減少する傾向にある。

↑ たばこ販売許可店数(万店)(各3月31日時点)
↑ たばこ販売許可店数(万店)(各3月31日時点)

特に2011年以降は、店数の減少度が大きくなっているように見える。これは「併設している自動販売機の撤去による採算の問題(自動販売機に稼いでもらい、店頭販売は半ば趣味的に商売を行うスタイルが成り立たなくなった)」「店主の高齢化による引退・閉店」「たばこ需要の減少に伴う売上の減少で利益が出なくなった」など、複数の要因が重なったもの。採算ラインぎりぎりにあった店舗が需要の低迷で、次々とシャッターを閉じていると考えればよい。直近の2023年では21.9万店。

一方、たばこの自動販売機数はどのような変移を見せているのか。こちらは店舗数以上に急激な減少傾向にある。

↑ たばこ自動販売機数(万台)(各12月31日時点)
↑ たばこ自動販売機数(万台)(各12月31日時点)

財務大臣の許可など条件さえ整えば、たばこの自動販売機そのものは無料で貸与を受けることができる。このたばこ自動販売機を「JT貸与機」と呼んでいる。この「JT貸与機」は2018年12月末時点で2.3万台(2019年分以降は非公開化のため実数は不明)、同時期における全たばこ自動販売機の15%ほど。1999年から2000年の伸びは、この「JT貸与機」の大幅な伸びが起因(1999年3月末時点で14.6万台だったものが2000年3月末には19.3万台、そして2001年3月末には22.0万台にまで増加している)。

その後自動販売機数はほぼ横ばい状態にあったが、貸与機に関する契約内容の変更、そしてタスポの導入(リース料は無料だがタスポ導入費用は設置側持ち。しかも導入後、手間がかかるなどの理由で利用者も減少=売上も減少)により、設置継続を断念するところが増え、結果として台数は急激に減少してしまう。

現在の最新データでは2023年末時点でたばこ自動販売機台数は7.5万台。先の震災による直接の被害以外に、その後の生産調整に伴う入荷数・種類の減少、節電対策としての販売機自体の一時停止など、マイナス要素が畳みかけるように発生しているため、減少度合いに歯止めはかからない。毎年前年比で1割前後の台数が減少しているのが現状である(直近年では前年比マイナス18.4%)。

嫌煙家からは「タバコ購入のハードルを低くする一因」として非難の対象となり、喫煙者からもタスポの導入で「購入が面倒」として避けられるようになったたばこ自動販売機。電力需給がひっ迫する中での過度の節電の時期は過ぎたものの、いまだに主要照明を落としたままのものも多く、中には節電のために停止したのち、本体そのものが撤去されてしまった事例もある。コンビニでたばこを調達する事例が増えたのも要因だが、今後も台数減少傾向には歯止めがかからないだろう。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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