シリア武力制裁でフランス海軍のMdCN巡航ミサイルが実戦初投入
4月14日、米英仏はシリア・アサド政権の化学兵器使用に対する武力制裁を実施しました。事前の予想通り現地に展開するロシア軍との直接接触をなるべく避けるため、艦船発射と空中発射の各種巡航ミサイルによる長距離スタンドオフ攻撃を実施。米マティス国防長官は1年前の米単独でのトマホーク巡航ミサイルによる武力制裁よりも今回の攻撃は規模が2倍であると説明しており、100発以上の巡航ミサイルが使用されたと推定されています。
- 米海軍イージス艦からトマホーク巡航ミサイル
- 仏海軍フリゲートからMdCN巡航ミサイル
- 米空軍B-1B爆撃機からJASSM巡航ミサイル
- 英空軍トーネード攻撃機からストームシャドウ巡航ミサイル
- 仏空軍ラファール戦闘機からスカルプ-EG巡航ミサイル
現在判明している使用兵器は4種類の巡航ミサイルです。スカルプ-EG/ストームシャドウは英仏共同開発で同じ物を英仏は別の名前で呼んでいます。MdCN巡航ミサイルはフランス語で「海軍巡航ミサイル」という意味を縮めた名前で、スカルプ-EG空中発射巡航ミサイルを元に艦船発射型に改造されたので当初はスカルプ・ナヴァル(スカルプ海軍型)と呼ばれていましたが、ほとんど原型を止めない改造になり別物の巡航ミサイルとなりました。MdCN巡航ミサイルはこれが実戦初投入となります。
※フランスのパルリ国防大臣が公式TwitterでMdCN巡航ミサイルによるシリア攻撃の様子を紹介。発射した艦はアキテーヌ級フリゲート。
MdCN巡航ミサイルはフランスが国産開発した自国製の巡航ミサイルですが、開発決定はアメリカからトマホーク巡航ミサイルを購入しようとして断られたことが原因でした。当時、イラク戦争の開戦是非をめぐって米仏が対立し関係が悪化してから間もなかった為でした。そのような経緯を持つMdCN巡航ミサイルが初の実戦参加でトマホーク巡航ミサイルを搭載したアメリカ海軍艦艇と肩を並べて撃つことになるとは、開発決定当時には思いもよらなかったことでしょう。