中国のコロナ対策。厦門で感染者92人に達し、全市で住民の行動制限へ
中国福建省の厦門市で新型コロナの感染拡大が進んでいる。国内で再発した感染の連鎖による感染者がこの1週間で急増し、累計で92人に上った。同市は、市内全域に亘る住民の行動制限を通知。娯楽施設なども即日営業停止とする強い措置に出た。
福建省内で広がった感染連鎖
厦門市の衛生健康委員会によれば、同市内で、外国から流入した感染者を除いた17日の新規感染確認は8人。同市では、外国からの流入を除いた新規感染者は、9月12日に最初の1人が確認されて以来、増加し続け累計で92人に上った。感染者は現在も入院中である。家族などの濃厚接触者として2270人を医学観察下に置いている。
今回の感染拡大は、9月10日に同じ福建省の莆田市で感染が確認された男性から始まったと見られている。男性は、シンガポールから入国し、防疫対策の規定に従い合わせて21日の隔離期間を終えた。だが、その間には感染が分からず、結果としてスーパースプレッダーとなってしまった。9月12日に確認された厦門の最初の感染者も、莆田市の感染者との濃厚接触者だった。
中国全体について見れば、外国から流入した感染者を除いた17日の新規感染確認数は31人。いずれも厦門市がある福建省。最も多いのは、最初に感染が広がった莆田市が21人、厦門市がそれに続く。福建省で感染の連鎖が起きたことがわかる。
全市で外出制限へ
市内での感染急増を受け、厦門市は18日、全市で住民の不要不急の外出を制限する措置に出た。住民には不必要な外出を自粛し、在宅勤務などに切り替えるよう促した。
団地や村などを封鎖の単位として、住民が出入りするにはそれらの単位が発行した証明書を提示しなくてはならない。外部の人間は、許可がないと入れない。
警察や消防、コロナ対策関係や生活必需品の運送に従事する車両などを除いて、一般車両は出入り禁止となった。
冠婚葬祭の行事は見合わせたり簡素化したりするよう求め、斎場には告別の業務を停止させた。イベントや宗教行事も中止である。
店内での飲食は禁止
観光地や公園、娯楽施設などは即日、営業停止。ショッピングセンターやスーパーマーケットなどには人流を収容能力の3割まで減らすことを求めた。また地下鉄やバスなどの公共交通機関も運行量を減らす。
飲食店やコンビニでは、店内での飲食は禁止。テイクアウトか出前のみの対応とし、こうした措置への違反があれば、法的な責任を問うとした。
日本に比べれば、感染者数は遥かに少ないが、行動制限の内容は遥かに多い。
中国では10月1日から建国記念日である国慶節の連休が始まる。休暇は1週間に亘り、大型連休としては春節(旧正月)と並ぶ。中国では、武漢で世界初のコロナの感染爆発が起き、ロックダウンをしたものの、春節休暇に合わせ約500万人がすでに当地を離れていた。そんな“失態”があっただけに、当局としては、国慶節の連休の前に今回の感染拡大をなんとか収束させたいところだろう。