Yahoo!ニュース

【オートバイのあれこれ】回して稼いで勝て!排気量には頼らなかったホンダ。

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「回して稼いで勝て!排気量には頼らなかったホンダ。」をテーマにお話ししようと思います。

CB450』というオートバイを知っているでしょうか。


CB450は、ホンダが1965年(昭和40年)にリリースしたオートバイです。

▲650ccの欧米マシンに立ち向かうべく作られたCB450。トップスピードは約180km/hをマーク
▲650ccの欧米マシンに立ち向かうべく作られたCB450。トップスピードは約180km/hをマーク

▲’68年にモデルチェンジが行われ45psにパワーアップ。フレーム強化や外観のアップデートも実施
▲’68年にモデルチェンジが行われ45psにパワーアップ。フレーム強化や外観のアップデートも実施

この後に登場した『CB750FOUR』の影響もあって、日本ではやや存在感の薄いCB450ですが、実は海外でもその実力を認められていた優秀なスポーツモデルでした。

1960年代頃までのバイク市場は、トライアンフやノートンといった英国老舗メーカーが主導権を握っており、まだまだ発展途上期で350ccくらいまでの小排気量車しか作っていなかった日本メーカーは、欧米メーカー製のビッグバイクを前に、なかなか世界マーケットへ割って入ることができていませんでした。

CB450は、そのようななかでホンダが世界のビッグバイク市場へ勝負を仕掛ける最初のマシンとなりました。

搭載されたパワーユニットは、排気量444ccの空冷並列2気筒エンジン。

▲マン島TTレース等で培った高回転型エンジンの開発ノウハウを注入!
▲マン島TTレース等で培った高回転型エンジンの開発ノウハウを注入!

これは、当時の英国車の主流だった650ccよりもひと回り小さいサイズです。

このサイズが選ばれた背景には、もしかすると、技術的な問題や生産設備上の問題もあったのかもしれません。

ただ、ホンダが“性能を排気量頼みにはしなかった”ということは、一つの事実として挙げることができます。

エンジン自体が小さくても、それを精巧に作り、高回転域で最大限パワーを出すことができれば、650cc勢にも張り合えると考えたのです。

「よく回るエンジン」を実現するため、ホンダはレース由来のDOHC(ツインカム)を採用し、またボア(シリンダー内径)を70mm、ストローク(ピストンストローク量)を57.8mmに定めて特性をショートストローク型に設定。

結果的に、CB450のエンジンは43psという650ccにも遜色ないピークパワーを獲得したのでした。

(ちなみに当時「最速」ともてはやされていたトライアンフ『T120ボンネビル』は650ccで46psでした)

▲北米市場向けの『エクスポート』モデル。現地の嗜好に合わせ、キャンディ塗装が施されていた
▲北米市場向けの『エクスポート』モデル。現地の嗜好に合わせ、キャンディ塗装が施されていた

発売後、CB450はそのハイパフォーマンスぶりが世界中で認められ、やがて「オートバイの王様」とまで称えられる存在となり、さらにその信頼性の高さも好評を得て、世界各国で白バイのベース車として使われることにもなりました。

このCB450、そして直後のCB750FOURを足がかりに、ホンダは「世界一の二輪メーカー」の称号を確固たるものとしていくのです。

画像引用元:本田技研工業

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

Rotti.の最近の記事