オートバイのあれこれ『空冷最速ネイキッド・XJR400』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今朝は『空冷最速ネイキッド・XJR400』をテーマにお話ししようと思います。
カワサキ『ゼファー』に端を発して始まった、90年代のネイキッドブーム。
そのなかでヤマハが生み出したのが、『XJR400』でした。
一見、ゼファーと同類のオートバイに思われがちですが、ヤマハはゼファーとは異なる方向性でXJRを作っていました。
ヤマハがXJRの開発テーマとしたのが、「空冷最速」。
ネイキッドモデルではありつつも、高いスポーツ性を持たせることを狙っていたのです。
ゼファーはそもそも80年代の行き過ぎたレプリカブームに対するアンチテーゼとして生み出され、そのキャラクターは大人しいものとされていましたから、ヤマハの目指した先はゼファーとは正反対だったといえます。
つまり、XJRとゼファーは似て非なる存在だということ。
ヤマハのその設計思想は、XJRの各部ディティールに見てとることができます。
搭載されたエンジンは、空冷4バルブDOHCの並列4気筒で、ピークパワーは53ps。
ゼファーが2バルブの46psでしたから、XJRは同じ空冷エンジンながらゼファーに性能面で完勝していました。
また、デビュー翌年の1994年にはオーリンズ製のリヤショックが標準装備された『S』モデル(XJR400S)が追加でラインナップされるなど、走りに重きを置いた作りこみがどんどん本格化していきます。
さらに95年には、ブレンボ製のブレーキキャリパーまで備えられた『R』モデル(XJR400R)も登場し、こうしてXJRシリーズはゼファーとは完全に異なるスポーツ派の立ち位置を確立。
スポーツ性をあまり期待できなかったゼファーに対し、XJRは「見た目は流行りのネイキッドスタイルがいいけれど、スポーツ性もほしい…」という欲張りなニーズを満たしてくれる存在だったといえるでしょう。