台湾地震 花蓮で日本統治時代の橋が復活 「大先輩のお出まし」「百年老橋」と話題 崩落した橋に代わり
台湾東部・花蓮県で4月3日に発生した大地震で、多くの建物が崩落したり、土砂崩れ、落石などが起こったりしたが、崩落した橋の代わりに、日本統治時代に建設された橋が使用されたことが、台湾で話題になっている。
90年前の橋が使用できることが判明
崩落したのは宜蘭県と花蓮県を結ぶ主要道路にかかる橋で、1971年に建設された長さ25メートルの「下清水橋」。台北方面に向かう交通網が遮断されてしまうことから、専門家が緊急に調査したところ、すぐ隣にあった日本統治時代の橋が頑丈で、補強すればまだ使用できることが判明した。そのため、早急に補強工事を行い、4月6日から一部の時間帯に限り、小型車が通行できるようになった。
代用されることになった橋は1930年ごろに建設されたと推定される、長さ10メートルほどの短い橋。「下清水橋」が開通して以降は、長いあいだ使用されなくなっていた。
これについて、台湾の王国材交通部長(交通相)がSNSに「大先輩のお出まし」という表現で投稿したことが台湾で話題になった。SNSには「そんなに古い橋が今もしっかりしているとは……」「すばらしい、奇跡のようだ」「ありがたい」といった称賛のコメントが書き込まれている。
台湾には、台北市の総統府、中山堂、国立台湾博物館などを始め、中部、南部、東部など、各地に日本統治時代の建造物が多数残されており、現在も使用されているものが少なくない。当時、日本人が住んでいた民家などを改築して利用しているものもあるし、日本時代に開発された温泉なども多数ある。
しかし、今回のような形で利用されることはまれで、「まさか、こんなに小さな橋が窮地を救うとは……」という書き込みもあった。安否不明者の救出活動もまだ行われており、橋が利用できたことに安堵している人は多い。
日本では東日本大震災や熊本地震、能登半島地震の際、台湾から多額の義援金、寄付金をいただいたお礼として、「今こそ台湾に恩返しを」という声が高まっており、芸能人なども寄付を行っている。日本政府が緊急無償資金協力を表明した際、台湾の蔡英文総統はX(旧ツイッター)で、日本語で謝意を表明。日本と台湾は「互いに支え合う堅実なパートナー」だと言及していた。