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プロスペクト兄弟の「天と地」。ドラフト全体1位の弟は1億ドルの新契約、全体2位の兄は解雇

宇根夏樹ベースボール・ライター
B.J.アップトン(左)とジャスティン・アップトン AUG 16, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メルビン・アップトンJr.ジャスティン・アップトンは、最も高順位のドラフト指名を受けた兄弟だ。兄のメルビン――かつてB.J.と名乗っていた――は2002年の全体2位、弟のジャスティンは2005年の全体1位(どちらも高校生だった)。今後、ともに全体1位の兄弟が出てこない限り、この記録は破られない。

 兄は通算164本塁打&300盗塁、弟は256本塁打&138盗塁。ともに19歳でメジャーデビューし、アトランタ・ブレーブスとサンディエゴ・パドレスでは、チームメイトとしてプレーした。現在、兄は33歳、弟は30歳。どちらも、まだ引退はしていない。2016年は2人とも、140試合以上に出場した。

 ただ、今の2人の立場は、天と地ほど違う。昨シーズン、弟はキャリアハイの35本塁打を放つなどベストシーズンを過ごし、11月2日にロサンゼルス・エンジェルスから5年1億600万ドルの延長契約を得た。一方、故障に見舞われた兄は、サンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のAAAで12試合に出場しただけ。12月15日にクリーブランド・インディアンズとマイナーリーグ契約を交わしたものの、3月19日に解雇された。

 これは、兄の故障だけが理由ではない。近年、兄弟の差は広がりつつあった。兄のキャリアは、そうならないことを願うが、このまま終わってしまうのかもしれない。

 ちなみに、アップトン兄弟の他に揃って100本塁打&100盗塁を達成した兄弟は、アイリッシュ&ボブ・ミューゼルしかいない。親子では、ボビー&バリー・ボンズケン&ケン・グリフィーハル&ブライアン・マクレイホゼ&ホゼ・クルーズフェリペ&モイゼス・アルーの5組が記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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