尹錫悦大統領就任直後の訪日が急浮上! 東京で日韓、日米韓首脳会談開催も!
韓国の尹錫悦(ユン・ソンヨル)次期大統領はバイデン大統領が東京で開催される「Quad(クアッド)」4カ国(日本・米国・オーストラリア・インド)首脳会談に出席するのに合わせて訪日し、米韓首脳会談及び日韓会談を行うことを検討しているようだ。
「Quad」の東京開催の日程はまだ決まっていないが、韓国では5月20日前後の開催が有力視されている。
米韓首脳会談は当初、バイデン大統領が訪日の帰途、韓国に立ち寄り、ソウルで行う方向で調整していた。しかし、ロシアの電撃的なウクライナ侵攻や北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射など情勢の急変で米国が日米韓3か国の首脳会談の早期開催を求めていることから尹大統領の就任(5月10日)直後の訪日が急浮上したようだ。
韓国は「Quad」のメンバーではないが、安全保障会議とは別途にワクチン、気候変化、新技術分野に関する「ワーキンググループ」会議も同時に開催されることから韓国はニュージランドやベトナムなどと共にこの「ワーキンググループ」会議への出席を検討している。
尹次期大統領は大統領選当選(3月9日)後にすでに5か国の首脳と電話会談を行っているが、このうち4か国が「Quad」加盟国である。
バイデン大統領とは10日、岸田首相とは11日、オーストラリアのモリソン首相とは16日、そして昨日(17日)はインドのモディ首相と電話会談を行っていた。今年8月に国交正常化30周年を迎える中国の習近平主席とはまだ通話していない。
尹次期大統領のスポークスマンによれば、モディ首相との間では気候変化や脱炭素化、尖端技術分野で両国が協力していくことが話し合われ、モディ首相は最後に「貴方を直接歓迎する機会を望んでいる」と語り、電話を切ったそうだ。
尹氏は選挙中の候補者テレビ討論で大統領になった場合の首脳会談の順番について1番に米国、2番に日本の名前を挙げていたが、電話会談の順番も米国、日本の順となっており、訪日すれば「一石二鳥」となる。
対中重視の文在寅(ムン・ジェイン)政権は「Quad」が中国を牽制する安保協議体の性格を帯びていることから「Quad」に加わらない方針を貫いているが、米韓同盟、日米韓の協力強化を選挙公約に掲げていた尹次期大統領は「Quad」加盟には前向きである。選挙期間中も「少し時間がかかるが、加盟する」と、口にしていた。
仮に尹氏が来日すれば、韓国大統領の来日は文大統領が大阪で開催された「G20」出席のため来日した2019年6月以来、約3年ぶりとなる。
来日すれば、岸田首相との首脳会談もセットされることになるが、周知のように日韓の間には元慰安婦や元徴用工問題など様々な懸案が横たわっている。首脳会談を開催したからといってこれら懸案を一挙に解決できるわけではないが、尹氏の訪日を機にシャトル外交が復活すれば、懸案の包括的な解決も可能と韓国側はみている。日韓シャトル外交は2004年に小泉純一郎首相(当時)と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)との間で始まったが、2011年12月の李明博(イ・ミョンパク)大統領の訪日を最後に途切れている。
シャトル外交復活のためには最初が肝心で、首脳会談の際に発表される共同声明の文案を訪日前に詰めておく必要があるが、韓国側は「韓国の現代史でこの時ほど韓日関係が良かった時期がなかった」(尹氏)とされる1998年の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が署名した「日韓共同宣言」をベースにしたいようだ。
尹氏は「この共同宣言には韓日関係を発展的な方向に導けるほぼすべての原則が盛り込まれている」として「この精神と趣旨を継承し、韓日関係を発展させれば、両国の未来は明るいはずだ」と自身のフェイスブックに記していた。