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ヤンキースが2人の野手と契約したのは、故障者の穴埋めというよりも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からL.モリソン、B.ミラー、M.スミス Jul 9, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースが、立て続けに2人の野手を入団させた。4月19日にローガン・モリソン、22日にブラッド・ミラーと契約を交わした。モリソンは31歳の一塁手、ミラーは29歳の内野手だ。2人とも、シーズン30本塁打以上の実績を持つ。

 今月上旬に「11人いる……故障者リストに。ヤンキースは緊急事態!?」で紹介したとおり、ヤンキースには故障者が相次いでいる。11人のうち、CC・サバシアは復帰したが、ゲリー・サンチェスグレッグ・バードアーロン・ジャッジの3人が、新たに故障者リストへ入った。

 けれども、モリソンとミラーがヤンキースのロースターに加わるかどうかは、まだ定かではない。どちらもマイナーリーグ契約。まずは傘下のAAAでプレーする予定だ。2人はシアトル・マリナーズ(2014~15年)とタンパベイ・レイズ(2016~17年)でともにプレーした――同じトレードでマリナーズからレイズへ移った――が、ヤンキースでチームメイトとして過ごすのは、AAAだけかもしれない。

 ヤンキースはすでに、何人かの選手をマイナーリーグから昇格させている。モリソンとミラーの位置づけは、故障者の穴埋めというよりも、昇格させた選手がうまくいかなかった場合の「保険」だと思われる。

 これは、ベテラン左腕のジオ・ゴンザレスと同じだ。3月19日にヤンキースとマイナーリーグ契約を交わしたジオは、AAAから昇格することなく、4月22日にFAとなった。2日前に「松井秀喜の退団後、ヤンキース9人目の背番号「55」。次の10人目が現れるのはしばらく先!?」で書いたように、ドミンゴ・ハーマンが好投しているので、ヤンキースは「保険」であるジオを必要としなかった。

 昇格した場合、ジオの年俸は300万ドル(+1先発につき30万ドルのボーナス)だった。一方、4月20日までに昇格できない場合、ジオは契約をオプト・アウト(破棄)することができた。その権利を行使して、FAになったようだ。ミラーの契約の詳細は不明だが、モリソンの契約には同様の条件がついている。昇格すれば年俸100万ドル、7月1日までに昇格できなければオプト・アウトできる。

 ヤンキースで昇格できなくても、マイナーリーグで結果を残せば、FAになった後、他球団から契約のオファーが来る可能性は高まる。ジオは3先発して防御率6.00ながら、2登板目は6回無失点、3登板目は5回2失点。計11イニングで18三振を奪い、3四球しか与えなかった。同じくFAのダラス・カイクルよりも安く手に入れられる先発投手として、欲しがる球団はありそうだ。SNYネットワークのアンディ・マーティーノは、ミルウォーキー・ブルワーズが興味を示していると報じ、ヤフー・スポーツのマット・イーホルトは、ツイッターでニューヨーク・メッツの名前を挙げている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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