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大阪桐蔭-伊万里  センバツ組み合わせ決まる!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
春連覇を狙う大阪桐蔭の初戦の相手は、21世紀枠の伊万里に決まった(筆者撮影)

 センバツ高校野球の組み合わせ抽選会が大阪市内で行われ、初戦の相手が決まった。90回の記念大会ということで1回戦が4試合あり、4校は相手がまだ決まっていない。史上3校目のセンバツ連覇が懸かる大阪桐蔭は伊万里(佐賀)と。ライバルの明徳義塾(高知)は神宮大会で破っている中央学院(千葉)とまたも当たる。強豪がうまく分散し、順当なら準々決勝あたりから熱戦が期待できそうだ。(表記の学年は4月からの新学年)

初日にまたも東筑登場

 開幕戦は東筑(福岡)と聖光学院(福島)。ともに昨夏を経験していて、雰囲気に呑まれることはないだろう。東筑の青野浩彦監督(57)は、「夏も初日で、甲子園は試合をするだけで終わった。初日だけは避けたかったが」と苦りきった表情。「相手は打力があるので、投手がいかに抑えるか」と横手投げエース石田旭昇(あきのり=3年)の奮起に期待を寄せた。

聖光学院のエースは兵庫出身の衛藤。力のある速球を武器に上位を狙う(筆者撮影)
聖光学院のエースは兵庫出身の衛藤。力のある速球を武器に上位を狙う(筆者撮影)

 速球派の衛藤慎也(3年)に注目が集まる聖光の斎藤智也監督(54)は、「衛藤の仕上がりは遅れている。なんとか間に合えば」と不安を隠さない。東筑の石田が粘りの投球を見せられるか。2試合目は英明(香川)と国学院栃木の対戦。英明は左腕の黒河竜司(2年)が大黒柱で、秋は公式戦を全試合完投。一方、国学院栃木は3投手の継投で失点を食い止める対照的なチームカラーだ。3試合目は強打の明秀日立(茨城)と秋の中国大会で1試合4本塁打の離れ業を演じた門叶(とがの)直己(3年)擁する瀬戸内(広島)が激突する。両校とも中軸打者をマークして、打線を勢いづけないことがポイントになる。

膳所は難敵 土曜日に21世紀枠2校登場

 2日目は日大三(東京)に21世紀枠の由利工(秋田)が挑む。由利工のエース佐藤亜蓮(3年)は、伸びのある速球を武器に三振も取れる。中盤まで互角に渡り合って、日大三の投手継投機を攻めたい。ここまでが1回戦となる。2回戦最初の試合は静岡と駒大苫小牧(北海道)。

駒大苫小牧の大西は神宮大会で大阪桐蔭相手に好投し、自信をつけた(筆者撮影)
駒大苫小牧の大西は神宮大会で大阪桐蔭相手に好投し、自信をつけた(筆者撮影)

 駒苫のエース大西海翔(3年)は、変化球を駆使する技巧派で粘り強い。神宮大会で大阪桐蔭を4点に抑え、自信を深めた。静岡は1番村松開斗(3年)が出塁してかき回し、大西のペースを崩せるか。第3試合は、昨夏に続く出場の日本航空石川が膳所(滋賀)と対戦。膳所は188センチのエース手塚皓己(3年)がどこまで踏ん張れるか。膳所の石川唯斗主将(3年)は、「立ち上がりにいいプレーをして、甲子園のファンを味方につけたい」と意気込むが、投打とも航空石川が上回る。

明徳、智弁和歌山、智弁学園が日曜日に

 順調に進めば3日目は日曜日。まずは明徳義塾と中央学院の神宮再戦。神宮では0-5で迎えた8回に、中央学院がエース大谷拓海(3年)の2ランなどで反撃し2点差まで迫ったが、内容的には明徳の完勝だった。中央学院の池田翔主将(3年)は、「神宮では相手のペースで試合をしてしまった。しっかり準備して臨みたい」とリベンジに燃える。第2試合は富山商と智弁和歌山。ヒジの故障から復帰した主砲・林晃汰(3年)が万全とあって、「今回の組み合わせは勝ち上がらんと明徳や大阪桐蔭と当たらん。ぜひ、やっておきたい」と智弁和歌山のベテラン高嶋仁監督(71)の口も滑らか。富山商はエース沢田龍太(3年)が丁寧に低目をつきたい。第3試合には3年連続の智弁学園(奈良)が登場し、昨夏に続く出場の日大山形と。智弁は昨秋、左腕・伊原陵人(たかと=3年)が、制球を乱して脆さが垣間見える試合もあり、小坂将商監督(40)は、「投げてみないとわからない」とエースへの信頼はまだまだ。日大山形は打線に自信を持ち、荒木準也監督(46)も、「冬の練習の成果。打力を見せたい」と打撃戦を歓迎した。

大阪桐蔭は4日目に初戦

 4日目の第1試合は、昨夏の経験者が過半数の下関国際(山口)と神宮準優勝の創成館(長崎)という注目対決。創成館の稙田龍生監督(54)は、「神宮のことは忘れた。ウチはまだセンバツで勝っていない。まずは一戦必勝で」と気を引き締めた。下関国際のエース鶴田克樹(3年)制球に定評があり、連打を許さない。創成館は左腕・川原陸、右変則投法の伊藤大和(いずれも3年)を軸に計算できる投手が多く、総合力が高い。第2試合に満を持して大阪桐蔭が登場する。相手は21世紀枠の伊万里(佐賀)に決まった(タイトル写真)。桐蔭の優位は揺るがないが、短い練習時間で効率のいい練習をしている伊万里の集中力は侮れない。犬塚晃海(いぬつか てるみ)主将(3年=写真右)は、「自分たちのペースに巻きこみたい」とスピーディーな試合運びで王者を脅かすことを誓った。桐蔭の中川卓也主将(3年=写真左)は、「自分たちに力がないことはわかっている。この大会は、夏に負けた先輩のため、そして(その試合で)エラーをした自分のために戦う」とキッパリ。今大会の21世紀枠出場校はいずれも地区大会優勝校相手で、苦戦が予想される。第3試合は花巻東(岩手)と東邦(愛知)の好カード。投打にスケールが大きい東邦は、投手力にやや不安がある。長身から威力のある速球を投げ込む扇谷莉(3年)が軸になるが、制球を乱して序盤で崩れると厳しい。花巻東も継投策になりそうで、お互い交代機がカギを握る。

東海大相模は初戦がカギ

 5日目はまず、東日本を代表する優勝候補の東海大相模(神奈川)が、開幕戦(東筑-聖光)の勝者を迎え撃つ。門馬敬治監督(48)は、「甲子園の1試合は大きな力を与える。勝ち上がってくるチームとの対戦は脅威」と警戒を緩めない。骨折で秋の関東大会を棒に振ったエース斎藤礼二(3年)も復調し、難敵の勢いを止められるか。第2試合は延岡学園(宮崎)が、英明-国学院栃木の勝者と。昨夏就任した延岡学園の三浦正行監督(66)は、元大洋(現DeNA)のプロ選手。椿原塁主将(3年)は、「指導が丁寧でわかりやすい」と就任即結果を出した指揮官に感謝した。この日は3試合とも1回戦不戦のチームが勝ち上がりチームとの対戦で、第3試合では高知が、明秀日立と瀬戸内の勝者とぶつかる。14日の練習試合で左足首を骨折した主将の島内(しまのうち)優成(3年)を欠く高知は、島田達二監督(45)が、「島内は捕手でチームの要。皆でカバーしていくしかない」と悲壮な決意。島内はベンチ入りするがプレーは絶望で、中学時代に捕手をしていた中畑隆之介遊撃手(3年)が代役候補一番手。「平尾(暁大=2年)も捕手はできるが、下級生に責任を負わせられない」と島田監督。出番が比較的遅くなったのはせめてもの救いか。

滋賀2校、乙訓登場する京滋勢の一日

 6日目には京滋勢が相次いで登場する。まず彦根東(滋賀)が慶応義塾(神奈川)と対戦。1888(明治21)年創部の慶応とその6年後に野球部ができた彦根東は全国屈指の伝統校対決。

抽選前、勢ぞろいし健闘を誓う滋賀の3主将。左から近江の中尾主将、膳所の石川主将、彦根東の高内主将。同一県3校は17年ぶり。滋賀からの複数出場は初めてだ(筆者撮影)
抽選前、勢ぞろいし健闘を誓う滋賀の3主将。左から近江の中尾主将、膳所の石川主将、彦根東の高内主将。同一県3校は17年ぶり。滋賀からの複数出場は初めてだ(筆者撮影)

 お互い文武両道を標榜し、「共通点が多い」と彦根東の高内希主将(3年)。村中隆之監督(49)も、「歴史のある学校と対戦できて嬉しい」と感激の面持ち。つい最近まで試験期間で調整が後れていると言い、「出番が遅くてよかった」と胸をなでおろしていた。第2試合は初出場同士の乙訓(京都)とおかやま山陽(岡山)。乙訓の市川靖久監督(35)は、「エースの富山(太樹=3年)は調子が上がってきた。選手たちには思い切ったプレーをさせたい」と旋風を狙う。昨夏は初戦敗退に終わった山陽。禰元(ねもと)太陽主将(3年)は、「まずは夏のリベンジ。そしてベスト8以上を目標にしたい」と経験値の高さで対抗する。第3試合では近江(滋賀)が、松山聖陵(愛媛)と。多賀章仁監督(58)は、「投手陣が絶好調でチーム状態は最高。早く試合がしたかった」と遅い登場に拍子抜けした様子。それでも「初めての滋賀3校なんで、簡単には負けられない」といつも以上に気合が入る。

試合巧者の星稜は初出場校の挑戦受ける

 7日目は星稜(石川)と冨島(宮崎)の対戦から。1年夏から甲子園で投げている星稜の竹谷理央(3年=主将)が右腕の故障から復帰したのは心強い。富島の濱田登監督(50)は、「調整は順調で、予想以上に動けている。しっかり準備して試合にはスムーズに入っていきたい」と巧者相手に一歩も引かない構えだ。第2試合で三重が最後に登場して、日大三と由利工の勝者と対戦する。今大会最年少の三重・小島紳監督(28)は、「ウチは左打者が軸になるんで、どちらがきても主力投手が右なのは助かる」と甲子園初采配にも自信をのぞかせた。

ゾーン別には強豪バラける

 センバツはこの日に決まったトーナメントで決勝まで行い、再抽選はしない。勝ち上がりはある程度予想できるが、強豪はうまくバラけた印象だ。ゾーンを4つに分けて展望してみたい。まず、東筑から中央学院までの9校は一番の激戦。力のある東海大相模は、勝ち上がり校と対戦する初戦がポイントになる。そこを突破しても、次が静岡か駒苫で息が抜けない。明徳も航空石川の分厚い戦力は侮れない。次の英明から創成館のゾーンでは、智弁和歌山と創成館の4強争いか。智弁学園もこの2年、センバツでは秋から大きく成長した姿を見せていて、不気味な存在。後半の明秀日立から慶応までの9校の中には大阪桐蔭が含まれる。

大阪桐蔭のエースナンバーを背負う柿木。佐賀出身で、初戦の相手の伊万里には中学時代のチームメイトもいるという(筆者撮影)
大阪桐蔭のエースナンバーを背負う柿木。佐賀出身で、初戦の相手の伊万里には中学時代のチームメイトもいるという(筆者撮影)

大阪桐蔭が優勝候補の一番手なのは間違いない。それは柿木蓮、根尾昂、横川凱(いずれも3年)の投手陣がずば抜けているからだ。ただ、打線は1番の藤原恭大(3年)が足の故障で万全ではなく、得点力に翳りが見える。勢いに乗って明秀日立が上がってきたときは、投手陣が踏ん張りきれないかもしれない。東邦も力があり、2戦目以降をどう乗り切っていくか。最後の由利工から富島までの9校では、打力の日大三、投手力の乙訓と近江が有力。三重も攻守のバランスがいい。力の差が最も少ないゾーンで、勢いに乗ったチームが勝ち上がりそうだ。

大阪桐蔭 連覇への道険し

 全体的には、まず21世紀枠の3校がいずれも強豪と当たる不運。近畿勢と東海勢が粒揃いで、上位進出が期待できる。有力校で、神宮優勝の明徳は、市川悠太(3年)に次ぐ投手が出現するか。智弁和歌山は比較的恵まれた対戦予想で、久々に上位に顔を出しそう。大阪桐蔭は初戦はともかく、2戦目以降に楽な相手はいない。春連覇の偉業へ、道のりは険しい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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