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ミサイル迎撃は例え首相が寝ていても自衛隊の現場判断で実施される

JSF軍事/生き物ライター
防衛省よりPAC-3地対空ミサイル(PAC-3従来型とPAC-3MSEの混載)

 現在、菅首相は官邸に隣接する公邸に住まず議員宿舎から通っていることを、災害などの対応で危機管理上の問題だと野党の立憲民主党が国会で質問しています。

こういう災害が起こるたびに、心配になるのが菅首相が危機管理体制万全の公邸(官邸の隣)に入らず、毎日、赤坂宿舎から通っていることです。

例えば、北朝鮮からのミサイルは10分以内に日本に着弾します。

出典:江田憲司(エダケンジ) | 選挙ドットコム

 ただし、ミサイル迎撃については問題になりません。というのも2005年に自衛隊法が改正されていて、ミサイル迎撃については実質的に自衛隊の現場判断で行えるように手順が整えられているからです。つまり例え首相は寝ていても迎撃戦闘は実施されます。

自衛隊法:第八十二条の三(弾道ミサイル等に対する破壊措置)

  • 防衛大臣は内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊に破壊措置命令を出せる。
  • 緊急の場合には、防衛大臣は内閣総理大臣の承認を改めて得なくてもよい。
  • 2016年8月8日から破壊措置命令は常時発令状態に移行。(3カ月ごと更新)

 事前に破壊措置命令を出しておけばミサイルが飛んできてその都度一々政治家の判断を仰ぐような真似はしなくてもよく、2016年からは奇襲攻撃にも対応できるように破壊措置命令を常時出しておく運用に変更されたので、ほぼ完全に自衛隊の現場判断で迎撃戦闘が行えるようになっています。

 もし北朝鮮からノドン弾道ミサイルが東京に向けて発射された場合は10分程度で飛んできます。探知してからは数分の猶予しかありません。その間に寝ている首相を起こして迎撃の承認を得て・・・などとやっていたら間に合う筈がないので、迎撃を自衛隊の判断に任せる運用は当然のことだろうと思います。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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