素朴だからこそ「四季あわせ」に映える節句の彩り。寒天の小豆ゼリーを挟んだ上品なおやつ
和菓子屋さんや百貨店の和菓子エリアに赴くと、その季節ならではのおめかしをしたお菓子たちが特集されているのをご覧になったことがあるかと思います。
特に7月に入ると、笹の葉が短冊と共に軒先に設置されていたり、通年商品に七夕を彷彿とさせるデザインを盛り込んだ商品が陳列されていたりと、大人から子供までなじみ深い節句に向けた準備が始まっています。
今回は、素朴な定番の和菓子を季節の装いに仕上げた冨来郁(ふくいく)さんの「四季あわせ」をご紹介。
お菓子そのものは、焦がし最中種と和製ゼリーともいうべき小豆の寒天を挟んだシンプルなお菓子。
ですが、そこに描かれているのは紅色の短冊が揺れる笹の葉。こちらはすり蜜といいまして、お砂糖と少量の水あめを加熱し、溶け合ったところで冷却しながら攪拌し、白く白濁したペースト化したもの。そこに好きな色をあわせて色付けをし、模様を描くことができます。
それだけではありません。
小豆の寒天ゼリーに塗された白いいら粉。いら粉は糯米を蒸して乾燥させてから細かく粉砕して煎ったもので、和菓子意外では和食の装飾などにも使用されています。その純白のいら粉がぐるりと一本のラインとなり、まるで夜空の天の川を演出しているようにみえませんか?まだほんのり明るい夏の夜に瞬く白い光を、小豆の色合いとより香ばしさをプラスさせるいら粉で表現するセンス、流石です。
また、小豆の寒天は意外に甘さ控えめということと最中種やいら粉の香ばしさが相まって、非常に食べやすく、ワンハンドで気軽に召し上がることができるおやつにぴったり!
練り切りなどの上生菓子や華やかな装飾が施された化粧箱入りの焼き菓子といった商品を手土産に選びがちですが、その隣に佇む昔ながらの味わいもなかなか乙なもの。そこには昔から愛される「ちょうどいい塩梅」の美味しさが詰まっています。
手土産等を購入なさる際には、ぜひその傍らに佇む控え目な佇まいの和菓子を、ご自身のおやつとして手に取ってみてはいかがでしょうか。
自分だけのスタメンに出会えるかもしれませんね。