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前節ベンチの長友佑都、レジェンドの高評価は変わらず 「スタメンに」

中村大晃カルチョ・ライター
8月26日、敵地でのローマ戦に出場した長友佑都(写真:ロイター/アフロ)

放出濃厚の声もあった中で残留を果たした。開幕から2試合連続で先発出場しても、一部のサポーターからは暴言を浴びせられている。前節は、新加入のライバルにスタメンの座を明け渡した。それでも、インテルの長友佑都はレジェンドから一定の評価を受けているようだ。

昨季は長友にとって厳しいシーズンだった。序盤の監督交代以降は出場機会を失い、クリスティアン・アンサルディの負傷でチャンスを得た終盤も、ナポリ戦で致命的なミスを犯すなど失態を演じて批判された。ツイッターでの発言もやり玉に挙げられたのは記憶に新しい。

当然、シーズン後の長友の退団は確実との声もあった。だが、今季から就任したルチアーノ・スパレッティ監督は背番号55を評価。徐々に移籍にまつわる噂は消え去り、ダウベルトにジョアン・カンセロと左右のサイドバックを獲得したクラブが放出したのは、長友ではなくアンサルディだった。

指揮官の信頼を得て、フィオレンティーナとの開幕戦や敵地でのローマ戦に先発出場した長友だが、一部サポーターからの評判は依然として芳しくない。代表戦の影響もあり、ダウベルトがスタメン出場した前節スパル戦では、SNSでアンチ長友派のユーザーが喜びをあらわにした。

インテルがボーナス別で2000万ユーロ(約26億2000万円)という大金を払って獲得したダウベルトは、ローマ戦で途中出場。長友との交代でピッチに立つと、ピンチを2回防ぐなどしてインテリスタに期待を感じさせた。

初スタメンとなったスパル戦は、イタリアサッカーへの適応の必要性も感じさせた。それでも、アンチ長友派はSNSで「長友が長年かけてやってきた以上のことを短期間でやっている」と、ダウベルトを評価している。

クラブが大枚をはたいて手に入れただけに、イタリアのメディアはダウベルトが左サイドバックのレギュラー候補とみている。だが、『スカイ・スポーツ』のコメンテーターであるジュゼッペ・ベルゴミは、違う考えのようだ。現時点では、長友をスタメンに起用すべきという。

ベルゴミは『スカイ』の番組で「スタメンは(ダニーロ・)ダンブロージオと長友だ。スパレッティは選択をした。最初から好まなかったアンサルディを放出した」「(ダウベルトは)成長しなければいけない」と述べた。

「スパル戦ではダウベルトだったが、ローマ戦は長友がプレーした。もっと先にどうなるかを見よう。スパレッティの良さは配下の選手を成長させることだ。(ローマで指導した)エメルソン・パルミエリを代表入りさせた」

昨季後半戦のミラノダービーでは、失点場面で長友がミスを犯したと指摘したベルゴミだが、ステファノ・ピオリ元監督が就任したときも、スタメンにダンブロージオと長友を推していた

ただもちろん、1982年のワールドカップ優勝メンバーで、インテルのレジェンドであるベルゴミの発言とはいえ、実際に長友がポジションを勝ち取れるかは、本人と監督次第だ。

開幕3連勝と波に乗るインテルだけに、サポーターの間では「今季こそ復活を」と期待が高まっている。長友はベルゴミやスパレッティ監督の信頼に応えるパフォーマンスで、サポーターからも満場一致で称賛されるようになるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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