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パリ五輪に滑り込める”大岩ジャパン”未招集の個性派Jリーガー5

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

U-23アジア杯で見事にパリ五輪の切符を掴んだ”大岩ジャパン”。松木玖生など、ここから最終メンバー選考に向けて「U-23アジア杯から凱旋!Jリーグでさらに輝く”パリ五輪の星”のヒーロー5」でピックアップした選手たちのJリーグでの活躍も期待ですが、まだまだ未招集から滑り込みを狙えるタレントはいます。

「これまで呼んだことある選手、ない選手が国内外にいる。ぜひ若い選手たちに台頭してきてほしい」

そう語る大岩監督。もちろん”欧州組”からは後藤啓介(アンデルレヒト)佐野航大(NECナイメヘン)の逆転招集も十分にあり得ますが、今回はJリーグからU-23アジア杯のメンバーにも無い特長を持つ5人を厳選しました。

濃野公人(鹿島アントラーズ)

U-23アジア杯では関根大輝(柏レイソル)の活躍が目立った右サイドバックですが、ポテンシャル的に勝るとも劣らない能力をJリーグの舞台で発揮しているのが濃野です。現役時代の内田篤人を彷彿とさせる俊敏なアップダウンに加えて、いつの間にかバイタルエリアまで上がってゴールを陥れる「NSK(なぜ・そこに・きみと)」ぶりで、大卒ルーキーながらすでに3得点をあげています。

勝負度胸も素晴らしい濃野。18人という枠を考えればサイドバックは三枚なので、もし滑り込むとすれば左サイドバックとのポリバレントも求められそうですが、関西学院大ではGKとCBをのぞく全てのポジションを経験したという実績があり、リーグ戦でも急きょ、ボランチに回されても違和感なくプレーしていました。そうした情報を代表スタッフが拾えていれば、アピールのラストチャンスとなる6月シリーズのメンバー入りも可能性ありと見ます。

山根陸(横浜F・マリノス)

松木と同じ2003年生まれですが、実力とJリーグでの実績を考えれば、滑り込みの一番手にあげるファンも少なくないかもしれません。中盤でボールを動かす能力は現在のメンバーに勝るとも劣らないものがあり、何より戦術眼と状況判断が抜群です。また昨年のU−20W杯メンバーであり、マリノスではMF植中朝日とともにACLファイナルを戦うことで得る経験値はライバルに無い強みです。

グループリーグでの対戦が決まったイスラエルの特長を、肌身で知っているのも推しポイント。ゆくゆくA代表の候補になっていくタレントであることは間違いありませんが、元同僚のキャプテン藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)などタレントの多い中盤でも、本来であれば加えるべき選手の一人と言えます。

倍井謙(名古屋グランパス)

独特のドリブルで左サイドを切り刻み、決定的なラストパスやゴールを狙う。おそらく突破力に関しては”大岩ジャパン”の誰よりも上でしょう。U-23アジア杯のメンバーである佐藤恵允(ブレーメン)や平河悠(FC町田ゼルビア)に加えて三戸舜介(スパルタ)や斉藤光毅(スパルタ)といった有力候補はいますが、世界を相手に驚きをもたらすラストピースとして組み込みたいところです。ちなみに濃野とは関西学院大の同期で、一緒に日の丸を付けることが目標の1つにあるようです。

植村洋斗(ジュビロ磐田)

”昇格組”の磐田において開幕戦からスタメン出場を続けてきた大卒ルーキーの有望株で、ボランチが本職ながら現在は右サイドバックがメイン。試合によっては左サイドバックもこなし、2−0と勝利した町田戦では試合中に、右サイドハーフを加えた3ポジションでプレーしました。

何より”第一次・森保ジャパン”のコーチで、東京五輪までA代表と兼任する森保一監督に代わり、何度も監督代行をつとめた横内昭展監督の”秘蔵っ子”だけに、日頃から代表基準を求められているのは強みです。磐田にはドリブラーの古川陽介など、ほかにも滑り込みを狙える候補はいますが、18人という限られた枠が、逆にスーパーマルチな植村にチャンスをもたらすかもしれません。

福田翔生(湘南ベルマーレ)

実は筆者が最も滑り込みを期待するのが、この遅れてきたスピードスターです。元々ウイングバックなどで想定されていたようですが、並外れたスピードと裏抜けのセンスを買われて、FWで起用されると才能が覚醒。直近4試合で3得点を記録しています。

最下位に苦しむ湘南でも救世主的な存在になりうる福田ですが、東福岡高からJFLだったFC今治に加入した経緯がり、同世代の”非エリート”から這い上がった代表格の一人です。ガンバ大阪に所属する兄の福田湧矢を”兄ちゃん”としたう福田が、ロンドン五輪の永井謙佑ばりに、現在の”大岩ジャパン”に無い武器を加えれば、厳しい境遇でも頑張っている多くの若手選手に勇気や希望を与えるでしょう。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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