高い目標を達成させるには、どの「窓」を開く必要があるか? 「ジョハリの窓」の解説
■ ジョハリの窓の解説
「ジョハリの窓(Johari Window)」をご存知ですか。
「ジョハリの窓」とは、自己分析に使う心理学モデルの一つです。
自分自身が見た自己と、他者から見た自己を、次の4つの窓に分けて自己分析するというものです。
(1)開放の窓――自分も他人も知っている自己
(2)盲点の窓――自分は気付いていないが他人は知っている自己
(3)秘密の窓――他人は知らないが自分は知っている自己
(4)未知の窓――自分も他人も知らない自己
社員研修でよく使われる古典的モデルですから、ご存知の方も多いことでしょう。
ここで注目すべきは「未知の窓」です。
自分も知らないし、他人も知らない自己です。その窓を、どうやって開くのか。多くの人が知りたいことでしょう。だから私たちコンサルタントの出番があるのです。
「私は、こんな高い目標を達成することなんてできない」
という人がいて、その周囲も、以下のような反応をしている状況で、私たちコンサルタントは燃えたりします。
「彼には、到底ムリだろう」
「もっと目標を下げてあげないと、彼は達成できない」
■ 先入観が最大の敵
理屈からして、どうやってでも達成できないような目標ならともかく、本人も周りも「レッテル」を貼ってるだけ、というケースが多々あります。
私たち外部コンサルタントのいいところは、そのような先入観がないことです。キチンとした戦略を立て、それに沿った行動計画を立てて改善をつづけ、達成させるように支援します。思い込みを排除して、淡々とやっていきます。
「ムリです」
「難しいです」
とどんなに言われても、「できない理由はない」ところまで行動を細分化すれば、あとは「気合い」でやるだけ……ということが大半なのです。労働時間内に終わるし、スキルも必要ない、ただやるだけで終わる行動であれば、モチベーションも何も関係がありません。繰り返しますが、必要なのは「気合い」だけです。
そして気合いでやり切っていると、そのプロセスにおいて、当事者は何度も「未知の窓」を開くことになります。そして、その窓の向こうに広がっている世界を観て、驚きつづけます。
「私に、こんなことができるなんて」
「半年前の自分では、考えられないことをやってる」
成長の実感を覚えたら、さらに未知の窓を開くようになります。周囲の人も、信じられないような目で、彼を眺めるようになることでしょう。
「以前とは見違えるようだ」
「何をやってもダメだと思っていたのに、最近の彼は自信に満ちてる」
■ 未知の窓を開くために必要なこと
それでは、自分も他人も知らないような「未知の窓」を開けるために、どうすればいいか。
大事なことは、自分のペースでやらないこと。自分のペースというのは、過去のペースです。そのペースでやっているから、他の人ができることも、できないのです。
マイペースを貫いていたら、どんなに自分がイメージする「ベスト」を尽くしていても、未知なる出会いはありません。
自分が勝手に作りあげた限界など、すぐに超えられます。どんな理屈も、メソッドも要りません。
必要なのは、それこそ「気合い」だけです。
■ ベテランほど、気合いが大事
自分も他人も知らない「未知の窓」を開きたい。自分の殻を破りたいという人は、自分のペースでできないような環境に身を置くことです。とくに、年齢を重ね、それなりの要職に就いている人ほど、大事な視点です。
偉い人になればなるほど、何事も自分のペースでやることが許されてしまいます。
私たち外部のコンサルタントが、組織改革のためにクライアント企業に入ると、ベテランの部課長ほど、私たちを煙たがります。
私たちが支援する内容には、それほど異を唱えません。それどころか私たちが提唱するやり方を認めてくださるケースのほうが多いのです。
「横山さんが開発した『予材管理』を、当社にも導入したい」
「あなた方が言っている絶対達成の考え方で、組織を変えていきたい」
しかし、方法論は取り入れたくても、実際の運用までは介入してもらいたくないと、多くのベテラン社員は思っています。
なぜか。
自分たちのペースが乱されるからです。
言われたようにはやる。しかし、自分たちのペースでやらせてほしいと主張するのだから困りものです。そのペースでは、成功しないとわかっていても、どうしてもペースメイカー役だけは譲ってくれません。
「最近の若い人は」と、口にするベテラン社員は多いですが、どんな業種、どのような規模の企業に入っても、必ず若い人から行動を変容させていきます。最初は抵抗しても、何ヵ月も関与していると、結果的に行動を変え、先に成果を手にするのは、決まって若い人たちからです。
若い人のほうが、自分のペースで仕事ができない環境に慣れているので、我々外部のコンサルタントのペースに順応するのが速いのが原因です。
それほど「ペース配分」は、大事な成功要因なのです。
電車の時間に間に合うためには、その時刻から逆算して行動しなければなりません。時と場合によっては、歩くスピードを変えたり、小走りにならざるを得ないこともあるでしょう。自分のペースで歩いていたら、間に合うものも間に合いません。
このように、ゴールを明確にし、そこから逆算して行動計画を作り、想定外のことがあったら、常に計画を修正し、臨機応変に行動を変える。この変化耐性があるかどうか。
筋トレもダイエットも、自分のペースでやるのではなく、選任のパーソナルトレーナーと一緒にやったほうが断然効果があるのはそのせいです。
自分のペースでやってはいけません。どうしても、これまでのペースでやりたくなったとき、私は常に「気合い」で打破しようとします。「気合い」は、いろいろな場面で使えます。こんなに便利な武器はありません。気合いでマイペースを打破し、「未知の窓」を開いていきましょう。