ネガティブな偉人
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、昨日に続いて、
「ネガティブ思考は性格なのか?」というお話をしていきたいと思います。
昨日は、「ネガティブ思考は性格です。生まれつきの性格です。そしてネガティブ思考は、悪いことでも不幸なことでもなく、治すものでも治るものでもありません」という話をしました。
今日は、その続きです。
ネガティブな人は、交通事故を起しにくいです。かもしれない運転をするからです。「交差点から、急に人が飛び出て来るかもしれない」という、自分にとって都合の悪い予想を立て、制限時速を守って、安全運転をする可能性が高いからです。
ポジティブな人は、交通事故を起しやすいからです。だろう運転をするからです。「交差点から、人が飛び出てくることなどないだろう」という、自分にとって都合のいい予想を立て、制限時速を守らず、危険な運転をする可能性が高いからです。
私(竹内成彦)は、ネガティブな人間です。
人から呼ばれて、講演会の講師として、人前で話すことがあるのですが、アンケートを自分から取ることは、ほとんどありません。お集まりいただいた方に、時間を取らせて、アンケートに答えてくれるようお願いするのは申し訳ないと思うし、「面白くなかった」などの低評価をもらうと、非常に気分が凹むからです。
私は、98%の人が、「非常に良かった」「良かった」に〇をつけてくれたとしても、残り2%の人が、「普通」とか「悪かった」に〇をつけると、大変に凹む人なのです。
だから、「『70%の人が、非常に良かった、良かった』に〇をつけました。私の講演会は、満足度70%です」等と高らかに謳うポジティブな講師が羨ましいでです。
でも私には、凹みやすい性格だからこそ、もっとお客さんに喜んでもらおうと思って努力し、その結果、少しだけ喋りが上手になったという事実があります。だから、ネガティブな性格は、必ずしも悪いとは限りません。もしも私が、ポジティブで、お客さんの低評価を気にしない人間だったら、今よりきっと喋りが下手だったと思います。
とはいえ、ネガティブにも限度があります。
私が度が過ぎるネガティブ性格だったら、今ごろ、心が折れて、講演会講師をやめていると思います。ですから、何事も、ほどほどが肝心ということです。
私はこれからも、自分の生まれつき性格を大切にして、ほどよいネガティブ人間をやっていこうと思います。
もしもこの記事をご覧の、自分のネガティブさに悩んでいる人がいたとしたら、私は、そんな方に、「無理してポジティブにならなくていいよ」という言葉をお送りしたいと思います。
続いて、今日は、
ネガティブな人を代表する、偉大なるネガティブ人間を、2人ご紹介したいと思います。
この2人を知れば、世の中の「ネガティブはいけない、ポジティブはいい」と仰る人が、必ずしも正解を言っているわけではない…ということが、ご理解できるかと思います。
お待たせしました。
ひとりはお釈迦さまです。
仏教の開祖であるお釈迦様は、かなりネガティブな人です。お釈迦さまは、人生は苦であると教えています。人生には、死ぬ苦しみと病気になる苦しみと老いる苦しみと生まれる苦しみがあるとおっしゃっています。さらに、お釈迦さまは、人生には、嫌いな人に会わなければいけない苦しみ、愛する人と別れなければならない苦しみ、欲しいものが得られない苦しみがあるともおっしゃっています。
聴けば聴くほど、「だったら人生、全部苦しみやないかーい」という感じがします。
というように、お釈迦さまは大変にネガティブな人なのです。お釈迦様がネガティブじゃなかったら、誰がネガティブなんだ…と言いたくなるほどです。
でも、お釈迦様は、偉大です。大変な人格者であり、悟りを開いた人でもあります。お釈迦様のことを、「彼はネガティブだからダメなんだ」と言える人はいないのではないかと思います。偉大なるネガティブ思考の代表者、それがお釈迦様です。
あともうひとり、大変にネガティブな有名人を挙げたいと思います。
それは、尾崎豊さんです。1983年から1992年までの9年間、華々しく活躍した、シンガーソングライターです。
尾崎豊さんのヒット曲でシェリーという唄があります。
その歌詞を一部分紹介します。
如何でしょう?
このシェリーという唄は、大変にヒットした尾崎豊さんの代表曲なのですが、「いかに尾崎さんがネガティブだったか?」わかるかと思います。この詩は、ポジティブな人には決して書けない、理解できない詩かと思います。
ネガティブな人は、基本、人の悲しみや苦しみに対して、共感する力、理解する力が強いので、人の心を打ち震わせるような作品を生み出すことが得意なのです。
今、お釈迦様と尾崎豊さんの二人を紹介したのですが、
その他にも、小説家や芸術家の中にも、ネガティブな人はたくさんいます。
だから、ネガティブな人は、ネガティブな人として生きていきましょう。
無理してポジティブになる必要なんてないです。
そりゃ、ネガティブになり過ぎるのはよくありませんが、ほどよいネガティブは、とても大切なことです。それはあなたの個性であり、あなたの変わることのない生まれつき性格です。
世の中には、ポジティブが良くてネガティブが悪いなんてことを言う人がたくさんいますが、特に自己啓発系に多いのですが、そんな言葉に惑わされることなくあなたはあなたらしく、自分を大切に生きていってください。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。