新型肺炎で考える! 仕事ができる人の「危機管理能力」と「リスク管理能力」
■ 新型肺炎への対策は個人任せでいいのか?
新型肺炎の影響が、企業活動にも影響を及ぼしている。
ヤフーは14日、全社員に対し、100人以上が集まるイベントへの参加を原則禁止とした。混雑する通勤時間帯での出勤も避けるよう呼び掛けている。
在宅勤務を推し進める企業は増えているが、イベント参加を禁ずるのは異例だ。
このように先導して対策をとる企業はいいが、ほとんどの企業が個人の判断任せ。では、個人任せにして、本当に正しく判断できるのだろうか。正直なところ、仕事ができるビジネスパーソンしか、正しい判断ができないのではないか、と私は考えている。
なぜなら、仕事できる人は、常日頃から「リスク管理能力」が高く、「リスク管理能力」が高いからこそ「危機管理能力」も高い傾向にあるからだ。
■「リスク管理能力」と「危機管理能力」
ところで、「リスク管理能力」と「危機管理能力」との違いはわかるだろうか? 以下に、簡潔に記してみよう。
●リスク管理能力:未来に起こるリスクを推定し分析し、そのリスクを回避するようマネジメントする能力
●危機管理能力:すでに起こった危険や損害を冷静に分析し、迅速に対応するようマネジメントする能力
「リスク管理」はつまり、病気にならないよう日頃から健康管理を徹底していくのと似ている。いっぽう「危機管理」は、病気になってから治療するまでの自己管理と言っていいだろうか。そんなものだ。
「リスク管理」は長期にわたって行う必要があり、「危機管理」は問題が解消されまでの短期間で済むことも異なる点だ。
当然のことながら、「危機管理」よりもはるかに「リスク管理」のほうが難しい。まだ見ぬリスクを想定し、リスク回避のための仮説立案の精度が問われるからだ。慣れない人にとっては、簡単ではない。
しかし、この管理能力は、目標達成する力、問題解決するスキルと直結するのだ。
■ なぜ仕事ができる人は健康なのか?
仕事ができる人は、健康や体調管理に余念がない。おそらく、このことに異論を唱える者はいないだろう。
とくに人生100年時代になり、その傾向はますます強まっている。ビジネス書も、実務や技能に役立つ本よりも、睡眠、運動、食事、ストレスに関する健康本が急増している。
不健康になれば仕事のパフォーマンスも落ちるし、何よりQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させることができない。
もう「俺の若いころは、胃に穴があいても徹夜して仕事をつづけた」といった不健康自慢は、誰も受けつけないし、尊敬も集めなくなった。
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。だから、実際によくわかる。たしかに結果を出す人ほど健康だ。気力も体力も充実している。
気合いや根性があるからだ、ということではなく、周りに流されずにセルフマネジメントができているからだ。
新型肺炎の影響が日に日に大きくなっているが、そもそもこの時期は、毎年インフルエンザが流行する季節である。リスク管理能力が高い人は、当然日ごろからマスク着用や、入念な手洗い、うがいを徹底している。
疲れすぎないように夜更かしや深酒をやめ、睡眠時間もしっかりとり、基礎体力が落ちないようにしている。
■ リスク管理が先だ
今後、新型肺炎がどのように拡散していくのか、予想がつかない。ただ言えることは、疫病や異常気象、そして紛争や不況など、過去とはくらべものにならないほど変動性、不確実性、曖昧性などが高い時代(VUCAの時代)になった。このことだけは間違いない。
だからこそ、以前にも増してリスク管理能力を鍛えておくことが重要だ。
リスク管理能力を身につけることで、心にも体にも余裕ができる。不測の事態にも冷静に対処できるし、困っている人を助けたいと思える。
危機管理能力は、リスク管理能力のうえにあると捉えよう。この能力は、健康を保つためであるだけでなく、ビジネスにも必ず役立つのだから。