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イチローも記録している「60試合で打率4割」。現役選手のなかにも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・アルトゥーベ Feb 26, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2020年のメジャーリーグは、60試合(1チーム)の短縮シーズンだ。規定打席は、60試合×3.1=186となる。162試合の502打席と比べると、かなり少ない。その分、1941年のテッド・ウィリアムズを最後に途絶えている、「4割打者」の可能性は高まる。

 それでも、極めて高いハードルであることは変わらない。ESPNのデビッド・ショーエンフィールドによると、2000年以降、開幕からチームが60試合を終えた時点で、4割以上の打率を記録していたのは、2008年のチッパー・ジョーンズしかいないという。

 アトランタ・ブレーブス一筋にプレーしたチッパーは、この年、打率.364で首位打者を獲得した。ブレーブスが6月4日に60試合目を終えた時、チッパーの打率は.409(208打数85安打)だった。

 2000年以降にチッパーよりも高いシーズン打率を記録した選手は、5人いる。2000年のトッド・ヘルトン(.372)とノマー・ガルシアパーラ(.372)、2004年のイチロー(.372)、2002年のバリー・ボンズ(.370)、2009年のジョー・マウアー(.365)だ。彼らはいずれも首位打者となったが、開幕から60試合の時点において、186打席以上で打率4割以上はいなかった。ヘルトンの打率.392が最も高く、イチローの打率.335が最も低かった。マウアーは打率.415ながら、シーズン初出場がチーム23試合目と遅く、「規定打席未満」の158打席にとどまっていた。

 ただ、開幕からではなく、シーズン中の60試合というスパンでは、マウアーを除く4人が、いずれもこの年に打率4割以上を記録した。マウアーも別のシーズン、打率.347で初めて首位打者を獲得した2006年に、60試合で打率4割以上があった。ミネソタ・ツインズの42試合目から101試合目(5月19日~7月28日)にかけて、打率.415(205打数85安打)を記録した。

 2004年のイチローに至っては、打率4割どころか4割5分を上回った。シアトル・マリナーズの76試合目から135試合目(6月30日~9月4日)に、打率.460(261打数120安打)と打ちまくった。

 2000年以降、60試合で打率4割は、彼ら以外にも記録している(5人についても、さらに別のシーズンに記録したかどうかは調べていない)。そのなかには、現役選手もいる。ESPNスタッツ&インフォは「2020年に打率4割は可能なのか? イライアス・スポーツ・ビューローによれば、シーズン中の60試合というスパンで打率4割の現役選手は、アルバート・プーホルス(2003年)、ハンリー・ラミレス(2009年)、ジョーイ・ボトー(2016年)、アンドルー・マッカッチェン(2012年)、ホゼ・アルトゥーベ(2017年)だけ」とツイートしている(ハンリーは現在FA)。

 彼らのうち、直近のアルトゥーベ――ヒューストン・アストロズがサインを盗んでいた2017年という点はさておき――は、50試合目から109試合目までのスパンに、打率.422(232打数98安打)を記録した。

 なお、テッドが現時点では「最後の4割打者」となった際のことは、こちらで書いた。

「短縮シーズンで可能性が高まる、日本プロ野球初の「4割打者」は見たいけれど…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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