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ブラジルにW杯制覇の可能性はあるのか。「ネイマール・システム」と4トップ形成の爆発的な攻撃力。

森田泰史スポーツライター
ゴールを喜ぶネイマール(写真:ロイター/アフロ)

眠れない日々を、過ごしている。

現在、カタールで2022年のFIFAワールドカップが行われている。32チームが参加する大会は、準々決勝まで日程が消化された。

ベスト8に残っているのはクロアチア、ブラジル、オランダ、アルゼンチン、イングランド、フランス、ポルトガル、モロッコである。サプライズとなったのはモロッコの8強入りくらいだろう。その他は強豪国が順当に上位進出を果たしている。

韓国戦で先制点をマークしたヴィニシウス
韓国戦で先制点をマークしたヴィニシウス写真:ロイター/アフロ

ここでは、そのなかでも優勝の可能性があるチーム、ブラジルとアルゼンチンにフォーカスを当てる。まずはブラジルだ。

ブラジルは大会期間中にネイマールが負傷した。回復具合が懸念されたが、決勝トーナメント1回戦の韓国戦で復帰。その試合で、4−1とアジアの雄を一蹴している。

ネイマールの在・不在で、ブラジルのフットボールは変わる。やはり、それくらいにカナリア軍団における10番の存在は大きい。

■超攻撃的な布陣

チッチ監督はネイマールを如何に嵌めるかに腐心してきた。今大会で、そのひとつの解が導き出された。4トップの採用だ。

ブラジルは前線にヴィニシウス・ジュニオール、リシャルリソン、ラフィーニャを並べている。ネイマールに与えられたポジションは左のインサイドハーフだ。この4人が、自在に動きながら、サンバのリズムで攻撃を奏でる。

このブラジルを語る上で、欠かせないのがルーカス・パケタだ。パケタのポジショニングが、全体バランスに影響を与える。彼の位置取り次第で、ブラジルは【4−1−5】になる。

この布陣を見て分かる通り、ブラジルの中盤は「スカスカ」だ。このゾーンを、カゼミロが一人でカバーするという現象が度々起きている。

チッチ監督はアンカーにカゼミロ、CBにマルキーニョスとチアゴ・シウバを据えており、センターラインに守備が強い選手を揃えている。圧倒的な攻撃力を備える一方で、守備に関しては個の能力に頼るところが大きい。

ブラジル代表のパケタ
ブラジル代表のパケタ写真:森田直樹/アフロスポーツ

ただ、工夫がみられる点として、サイドバックの起用法が挙げられる。

右SBにはエデル・ミリトンが使われている。レアル・マドリーでは、CBを務める選手だ。

ミリトンを右SBに置き、左SBのダニーロが一列上がる。そして、状況に応じてパケタが中盤に留まれば、後ろと中盤が3枚ずつ担保される。【3−3−4】の形が作られる。

これも、翻って、ネイマールのための布陣だ。そう、「ネイマール・システム」である。

■ネイマール・システム

詳細に言うなら、この時、【3−3−1−3】のシステムが形成される。この「1」に入るのが、ネイマールだ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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