あんこ無しでももっちり甘い「カステラ焼」1個30円、人形町の街角のおやつにはたっぷりの卵と深い歴史
東京観光の定番土産のひとつに「人形焼き」を入れても良いのではないかと思っている私。今ではキャラクターショップなどでも、アニメや漫画の登場人物を模った人形焼きが販売されていますね。あんこだけではなく、カスタードクリームやチョコレートクリームなど、子供たちが大好きな組み合わせも。
さて、その人形焼き発祥の地は東京都中央区日本橋の人形町というのはご存知でしょうか?浅草でも鳩や提灯を模った人形焼きが販売されていますが、そのはじまりは1907年創業の人形町にお店を構える「板倉屋」さん。こちらは七福神を模ったあんこの人形焼き。
そしてもうひとつ。お宮参りなどで日々賑わう水天宮の目の前にお店を構える創業1917年「重盛永信堂」さんも人気店のひとつ。
今回は、重盛永信堂さんのあんこが入っていない「カステラ焼」をご紹介。
こっくりとした明るいきつね色の焼き色ですね。お気づきかもしれませんが、カステラ焼は人形焼きの七福神の形ではなく、戦車に鉄砲と戦争を彷彿させるようなものばかり。
創業前から、日本は幾たびもの戦争と対峙・関わりももってきました。どんなに戦況が有利だったにしろ、お砂糖をたっぷり使用したあんこは贅沢品としてなかなか作ることができなかった時代も。その時にあんこ無しでも、ということで生み出されたであろうカステラ生地のみのお菓子。
一般的なカステラとは異なり、やや目の詰まったもちもちとした食感の生地です。ほっとする甘い香りをひとつ口の中へほうり込めば、ほのかな香ばしさと噛みしめるたびに口の中がじんわりと卵や蜂蜜のコクと甘味でみたされていきます。それでもややあっさりとした印象なのは、重盛さんの人形焼きにはしっかりと甘さを備えたあんこをたっぷりと包んでいるからでしょうね。
物によってはヘルメットや鞄はひとくちでもぱくりと食べられますが、ラッパは細長で若干大きく感じます。ですが、大口でもぐもぐとするのもまた一興。
時代が時代だっただけに、子供たちを含め国民の士気をさげまいとしつつ、その中でも商いを続けていかなくてはならなかったのだろうなという想いもあったのではないでしょうか。
なんて物思いにふけっていたら、いつの間にか半数以上がお腹の中へ。甘いひとときを過ごせる今に感謝しつつ、おかわりを買いに行かねば。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<重盛永信堂>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区日本橋人形町2-1-1
03-3666-5885
9時~19時(土曜 9時~18時)
定休日 日曜・祝日