1月中旬から2月中旬までは、大学受験や高校受験、更には中学受験と、肌を刺すような寒さだけではなく、独特の張りつめた空気に身を切るような思いの人たちも沢山いらっしゃるかと思います。受験生のみならず、ご家族や先生方、塾の講師の方々など携わっている人たちにとっては疲労や緊張感もピークに達しているはず。

そんな時、ゆっくり休むことはできなくとも、ちょっと空気の入れ替えついでに甘い物を召し上がっていただけたら、と差し入れをお渡ししたいなと思う方にぴったりな和菓子があります。

創業大正14年、広島県廿日市市宮島に本店を構える和菓子屋「藤い屋」さん。こちらはいわずとしれたもみじ饅頭の名店なのですが、じつはもうひとつ。宮島にまつわる逸話をもとにした縁起物の和菓子があるのです。今回は藤い屋さんの「杓子せんべい」をご紹介。

杓子はまさに、しゃもじ、のこと。ご飯をよそう時に使う道具です。それがなぜ縁起物かといいますと、同封されている栞によれば、とある僧が琵琶の名手でもある弁財天の夢をみて、琵琶の美しい曲線から杓子を考案。その杓子でご飯をいただけば幸運になると伝わるようになったとか。更に、「飯をとる（ご飯をよそう）」と「敵を召し取る」という言葉をかけあわせて、必勝祈願等にも人気の高い銘菓とのこと。

杓文字のへらの部分には、藤い屋さんが込めた4つの願い事「受験合格・恋愛成就・商売繁盛・家内安全」のマークが刻まれており、更にお煎餅に使用されている材料も「砂糖・小麦粉・卵・水飴」の4つのみ。

約2ミリ程度でありながら、ざくざくっという歯ごたえの良さと耳に響く心地よい音、そしてふんわりと優しい甘味にどこか懐かしさを覚えます。たまごと水飴のこっくりとした甘味に、ストンと肩の力が抜けるはず。シンプルな材料なので、家族揃って召し上がることができます。

願い事、そして材料も4つずつという、まさに「しあわせ（4あわせ）」を招くような和菓子。こうした縁起物をさらっとお渡しすることができたら、ちょっとかっこいいと思うのは私だけでしょうか。

＜藤い屋・本店＞
公式サイト（外部リンク）
広島県廿日市市宮島町1129
0829-44-2221
9時30分～17時30分