ロシア軍のRS-28サルマート大陸間弾道ミサイルは発射重量208トン、弾頭重量10トン
ロシア軍で開発中の新型ICBM「RS-28サルマート」は世界最大級の大きさを誇り、固定サイロで運用される重ICBMです。液体燃料式の推進ロケット部分は2段式で、これに加えて複数個別誘導再突入体(MIRV)を載せたポストブーストビークル(PBV)が付きます。
RS-28サルマートは現行型「R-36M2ヴォエヴォダ(NATOコードネームSS-18サタン)」の後継機で、西側では通称「サタン2」とも呼ばれています。正式なNATOコードネームはまだ正確には判明していません。
2019年にモスクワで開催された兵器展示会「アルミヤ2019」で初めて公表されたRS-28サルマートの性能数値は以下の通りです。
RS-28「サルマート」(РС-28 «Сармат»)
- 最大射程18000km
- 発射重量208.1トン
- 燃料重量178トン
- 弾頭重量10トン
- 弾頭数10個
- 全長35.5m
- 直径3m
出典:Раскрыты характеристики баллистической ракеты «Сармат» | Телеканал «ЗВЕЗДА»
なお一部の報道でRS-28サルマートについて「弾頭重量100トン」とするものがありますが、間違いです。
この記述はCNN英語版の元記事でも同じ表現となっています。ところがロシア国営タス通信の2016年当時の報道を確認すると、RS-28サルマートの弾頭重量は10トンであるとちゃんと書かれていました。
なお2015年の記事でも同内容が確認できました。ユーリー・ボリソフ国防次官(当時)がRS-28サルマートの弾頭重量は10トンであることを明言しています。
おそらくですがアメリカのCNNは「弾頭重量10トンで弾頭数10個」を勘違いして掛け算してしまい、10トン×10個=100トンと間違えて書いてしまったのでしょう。そしてCNNの記事を信じた幾つかの日本メディアも間違えてしまっています。
それでも、発射重量約200トンで弾頭重量100トンはいくらなんでもおかしいと誰かが気付いていれば誤解は防げたと思います。
※2022年4月22日、RS-28サルマートの初めての飛行試験
※2018年3月30日、RS-28サルマートのサイロ射出試験