「ビデオ会議が多すぎる」問題。解決策は?
コロナ禍でも円滑に仕事を進めるため、ビデオ会議のツールが急速に普及しました。一方、その弊害として「ビデオ会議が多すぎる」問題が起きているといいます。
オンラインストレージの「Dropbox」は、時間を拘束されるビデオ会議ではなく、余裕のあるときに見られる「動画」の活用が解決策になると提案しています。
ビデオ会議で燃え尽きる社員も
仕事の連絡では、メールやチャットだけでは伝わりにくいと感じることがあり、そういう場合は電話やビデオ会議を使いたくなるものです。
しかし、Dropboxが8か国で実施した調査では、41%が「ビデオ通話や会議が多すぎる」と回答。誰もが簡単にビデオ会議を始められるようになった結果、弊害が生じていることがうかがえます。
ビデオ会議が多すぎると、気を休める時間のない「常時オン」の状態になり、社員が燃え尽きてしまうと指摘。これは生産性の低下や離職といった問題につながるとしています。
そこでDropboxが解決策として提案するのが、「動画」の活用です。ビデオ会議に疲れているのになぜ動画なのかというと、そこには同期と非同期の違いがあるといいます。
ビデオ会議は時間を拘束される「同期」のコミュニケーションであるのに対し、動画は余裕のあるときに見られるため「非同期」というわけです。
ビジネスにおける動画の活用といえば、YouTubeやTikTok向けに作り込まれた動画を想像しがちですが、社内で共有するだけなら、もっと簡単なものでよいでしょう。
そこでDropboxでは、パソコンの操作画面を簡単に録画できる「Dropbox Capture」を10月26日に正式リリースしています。
単に録画するだけでなく、画面の中に手書きで書き込みを加えたり、ノートパソコンのWebカメラを用いて自分の顔を加えたりと、細かいニュアンスを伝える機能を備えています。
ビジネスの動画は最初から通して見るのではなく、見たいところまで飛ばしたい人も多いでしょう。Dropbox Captureには音声の文字起こし機能があり、全体をざっと見渡して、必要なところから再生できるとしています。
活用事例としては、「静止画を何枚も使った手順書を動画にする」とか、「問題が起きたときに文章ではなく動画で説明する」といったものがあるようです。
メールやチャットのように空き時間に利用できる非同期のメリットを活かしつつ、画像や文章だけでは伝わりにくいことを動画で伝える、いいとこ取りを狙ったツールといえそうです。
「非同期」が多様な働き方を後押しする
Dropboxでは、こうした動画の活用により仕事と生活を調和させる「ワークライフバランス」を実現できるとみています。
「ビデオ会議ではこの時間からこの時間と決まっているが、動画なら余裕のある時間に消化できる。時差があるような環境でも、非同期ならやりやすい」(Dropbox Japan アジア太平洋・日本地域総括ソリューション本部長の岡崎隆之氏)といいます。
こうした「時差」は、海外との連絡が多い外資系企業だけでなく、働き方改革によって日本国内でも発生していると考えられます。
離れた場所で別々の時間に働くメンバーが多い場合、メールやチャットといった非同期のツールは欠かせません。そこで細かいニュアンスまで伝えられる動画を活用できれば、多様な働き方を後押しする効果がありそうです。