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寄付するとき事務局費にもご活用ください、とあえてつけることにしました。

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

あまり寄付という行為を意識して生きてこなかったのですが、ここ数年は自分が応援していたり、応援したいと思った

個人(のチャレンジ)や団体に寄付するようになりました。

東日本大震災をきっかけにという方もいるかと思いますが、僕の場合はむしろインターネット×寄付により、手軽に寄付ができる環境と情報が入りやすくなったというのが理由です。

自分もNPO活動のなかでご寄付をいただけるようにお願いをするのですが、ご寄付を頂戴するとき、事務局経費としていくばくか使わせてください、とは非常にいいづらいです。「それって人件費にもなるんだよね?」とご質問を受けたことがあり、「できれば一部はそうさせていただきたい。対人支援なので支援や支援環境にコストもかかるんです」と伝えたら、怒られたことがあります(寄付はしていただけませんでした)。

そういう経緯もあり、何となくいいづらいわけです。

もちろん、寄付とは言え、事業やプロジェクトには実費以外の部分にもコストがかかるので、当然(一定の割合で)活用すべきだ、という言葉をいただくことも多々あるわけですが、それを力に大きな声で寄付をお願いするのは、はばかられるわけです。考え過ぎかもしれないですけど。

とは言え、実際にかかるものについてはお願いをしながら進めていくわけですが、自分が寄付する側の場合を考えてみました。

実際、一つひとつは小額なのですが、寄付など他者/他団体(NPO)が解決を目指す問題に、自分自身は直接関与できないわけですから、その社会的な問題に間接的にでも関与したいわけです。そうすると、現金だけではありませんが、役に立てるようであれば、寄付で解決を託します。

周囲を見回すと、やはり、本来かかる事務局経費を大々的にうたっていることは少ないように思います。事務局コストを自らで吸収できる場合もあるので何とも言えませんが、同じNPOを運営するものとして、なくてもいいけれど、あったほうがよいこともあるだろうと。

それでここ最近は、といってもはじめたばかりですが、「事務局費もぜひとってください。活用してください」と一言そえるようにしました。

本当に活用されるのか。どのくらいの割合をあてるのかはわかりませんが、少なくとも、一個人の小額ではありますが、その寄付については一定の割合を事務局費として使っていただいて構いません。人件費でも問題ありません。活用されなくても構いません。

寄付を集める側がいいづらいのであれば、寄付をする側から少しずつ行動していけば、いずれ寄付を集める側はしっかりと事務局経費についてもお願いがしやすくなっていくように思います。そこから先はNPO側の成果や報告などのあり方によって継続率や継続者数が変わっていくと思います。こちらは僕や自分の組織としての大きな課題でもあります。

認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

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