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うさ耳イモムシで「卯年」明けましておめでとう!#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
うさ耳イモムシと言えばクロコノマチョウ幼虫。頭の模様は色々。

 謹賀新年。今年は卯年、うさぎ年。「うさ耳」カチューシャ姿で成人式に参加するコスプレーヤーが続出するのが楽しみだが、昆虫界で「うさ耳」と言えば、言わずと知れた(虫好き以外はだれも知らない)クロコノマチョウの幼虫だ。

 クロコノマチョウの大きな幼虫がたくさん見られるのは、夏と秋の2回。林縁のススキやジュズダマ、池の周囲のヨシなどでよく見かける。それなのになぜ、今頃紹介するのか。それはもちろん「うさ耳イモムシ」が最も注目される(と昆虫記者が期待する)のが、うさぎ年の正月の今だからだ。

うさぎ年は、クロコノマチョウ幼虫の百面相で楽しもう。
うさぎ年は、クロコノマチョウ幼虫の百面相で楽しもう。

 いつやるか、今でしょ(古いフレーズだ)という、自分勝手な「ご都合主義」。「うさ耳イモムシで明けましておめでとう」などという売り文句で、クロコノマチョウ幼虫の知名度を上げ、虫好き人口を増やそうという、あさましい魂胆が見え見えなのである。

 今年夏になって「うさぎ年のうさ耳イモムシ」などと取り上げても、「あれ、今年はうさぎ年だったっけ?」といった反応になってしまう。干支(えと)などというものは、年末年始にだけ派手に取り上げられて、チヤホヤされるものなのだ。

ススキの葉上に2匹連なったクロコノマチョウ幼虫。
ススキの葉上に2匹連なったクロコノマチョウ幼虫。

 クロコノマチョウは成虫越冬するので、成虫は真冬でもどこかにいるはずだ。しかし、この成虫は非常に地味なので、虫好きの間ですら、注目を集めることはほとんどない。クロコノマチョウと言えば、やはり幼虫。そしてうさぎ年の今年こそが、クロコノマチョウ幼虫の最大のモテ期なのだ。

クロコノマチョウ成虫のカップル。翅を開いているのがオス。枯れ葉のようで目立たない。
クロコノマチョウ成虫のカップル。翅を開いているのがオス。枯れ葉のようで目立たない。

メスのクロコノマチョウ成虫。オスより若干おしゃれ。
メスのクロコノマチョウ成虫。オスより若干おしゃれ。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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