なぜC・ロナウドの移籍は決まらないのか?チェルシー、バルサ、パリSG...補強の算段とジレンマ。
スター選手の去就に、注目が集まっている。
クリスティアーノ・ロナウドは、マンチェスター・ユナイテッドからの移籍を望んでいるようだ。7月4日の初練習に姿を現さず、ユナイテッドのプレシーズンツアーにも帯同しない。現在、ジョルジュ・メンデス代理人が新天地を決めるために奔走している。
「ロナウドは、昨シーズン、ユナイテッドの最多ゴールスコアラーだった。そして、重要な時に現れてチームを前進させた。沈みかけた船を見て、移籍を希望したのだろう」とはプレミアリーグで長くプレーしたジェイミー・オハラの言葉だ。
「ロナウドは数ヶ月にわたり責任を負ってきた。『ユナイテッドの未来は明るくない。自分はタイトルを勝ち取りたい』と言う権利を彼は勝ち得たと思う」
C・ロナウドは、ユナイテッドと2023年夏まで契約を残している。
バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、チェルシー...。移籍の憶測が流れ、複数クラブからの関心が伝えられてきた。
バイエルンはロベルト・レヴァンドフスキに退団の可能性がある。だが先日、オリバー・カーンCEOが「クリスティアーノに敬意を抱いている。しかし、彼の獲得は我々のフィロソフィーに合致しない」と語っており、獲得レースに興味を抱いていない。
バルセロナは先日、ジョアン・ラポルタ会長がメンデス代理人と接触していた。ただ、現在のバルセロナにはアンス・ファティ、ニコ・ゴンサレス、フランシスコ・トリンカオとメンデス代理人が抱える選手が数人いる。C・ロナウドのために話し合いの場を設けたとは考えにくい。
パリSGは実質上の“国家クラブ”だ。資金面での不足はないだろう。ジャンルカ・スカマッカ(サッスオーロ)に触手を伸ばそうとしており、ストライカーを確保しようとしているのは確かだ。
チェルシーは今夏、ロメル・ルカクにインテルにレンタルで移籍した。ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、ラフィーニャ(リーズ)とアタッカーの獲得を検討してきた。C・ロナウドに対して、移籍金1600万ユーロ(約22億円)を準備していると言われている。
C・ロナウドの決定力は落ちていない。2021−22シーズン、24得点を記録してユナイテッドのチーム内得点王になった。20−21シーズンには、36得点でユヴェントスのチーム内得点王に輝いている。
しかし、37歳という年齢、推定3000万ユーロ(約42億円)の年俸というのが、ネックになっているのかもしれない。レアル・マドリーやリヴァプールを筆頭に、近年、多くのクラブが若いタレントの発掘に注力している。
今年の秋には、カタール・ワールドカップが控えている。そのシーズンに、C・ロナウドがチャンピオンズリーグでプレーしたいのは当然だろう。ユナイテッドでは、それは叶わない。だがC・ロナウドの需要は以前ほどではない。ジレンマに追われ、時計の針は刻まれ続けている。