日本代表の流大は、キャプテンを助けるキャプテン経験者。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビー日本代表は6月9日、16日にイタリア代表と、23日にジョージア代表とテストマッチ(国際真剣勝負)をおこなう(場所はそれぞれ大分、神戸、愛知)。5月27日からの6日間は、宮崎・シーガイアで事前合宿を実施。本格的な練習を始めて4日目にあたる31日の練習後、若きリーダーの流大が所感を明かした。
流は2014年度、帝京大学のキャプテンとして大学選手権6連覇を達成。2016年には入社2年目のサントリーでキャプテンに抜擢され、以後、国内トップリーグで2連覇。さらに今季は、日本代表と連携を図ってスーパーラグビーに挑むサンウルブズでも新加入ながら共同キャプテンの一角を担った。
今回は、是が非でも勝利が求められるツアーで取るべきリーダーシップについて語る。2019年のワールドカップ日本大会へ向け、ナショナルチームをどう磨いてゆくのだろうか。
以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――宮崎合宿ではどんなことを。
「ワールドカップを想定した準備を意識しています。この1週間はゲームウィークでもないので、激しいこともやり、ランの強度も高かった。チームカルチャーもできて少しずつよくなってきた昨年11月のことを思い出していくようにという話はジェイミーからも出ましたし、リーダー陣同士でもそういう話をしています」
――11月によくなったこととは。
「秋はやっとチームが同じ方向を見始めた。戦術理解もそうですし、オフフィールドでの努力もそうですし、外国人と日本人のコミュニケーションもそう。フランスで、初めて長期間を共に過ごしたので、11月に一体感ができた。今回が初めてのメンバーもいるのでこれからですが、この合宿で(11月の収穫を)意識する」
――その11月のツアーを経て、今年1月下旬からはサンウルブズの活動がありました。5月までのスーパーラグビーのシーズンは、今度のツアーに活きそうですか。
「一番は、ラグビーの中身。(両軍の戦術は)そこまで変わらないのですが、それを(スーパーラグビーの)高い強度のなかで経験できたのはすごく大きいかなと思います」
――サンウルブズが初勝利を挙げたのは、勝利を意識しすぎなくなってからと見られます。とはいえ日本代表は、国の威信を背負う性質上、勝利を意識しないわけにはいかない。気持ちの作り方についてはどう考えていますか。
「サンウルブズも全部の試合に勝つつもりでやっていましたが、日本代表の3試合は絶対に勝たないといけない。ホーム開催でもありますし、ここでどんな結果になるかで日本のファンの見方も変わる。セットピース(スクラムやラインアウトなどプレーの起点)が強い相手なので、ワールドカップも想定できると思います(同種の特徴を持つアイルランド代表、スコットランド代表と対戦)。(戦法の)もっと詳しいところはゲームウィークに入ってから取り掛かると思いますけど、相手のセットピースからのモーメンタム(勢い)を抑えることと、自分たちが得意とするアンストラクチャーからのアタックで相手を揺さぶることという2点を月、火曜日(宮崎合宿の前半)でやり、今日は初めてディフェンスをやりましたがすごくよかった。ここにジョン・プラムツリーディフェンスコーチが加わればもっとよくなると思います」
――サントリーとサンウルブズでキャプテンをしています。日本代表のチーム作りにはどうかかわりますか。
「ここではキャプテンじゃありませんが、キャプテンがして欲しいことはわかる。それをリーチさんが背負い込まないよう、リーダーシップを分散できるような働きをやっていきたいです。リーチさんにいちいち『元気出していこう!』と言わせるのではなく、まずはプレーに集中してもらって、ここぞの時の声掛けをしてもらえればいい。だから僕はきつい練習の時に『顔を上げて頑張ろう』と言い、戦術面でも田村優さん、堀江翔太さんとかと話すようにしています。リーチさんが全部やるような形にしないように、と思っています。僕はしんどい時にしっかりと声を出して頑張るだけですし、自分のプレーも代表選手として追求していかなくてはいけないと思います」
日本代表では、一部のリーダーに負荷がかからぬようリーダーシップグループを形成。その隊列には25歳の流や23歳の姫野和樹といった若手も含まれる。いまの日本代表では戦術、戦略の共有はもちろん、チームの風土づくりでも選手の存在感が問われている。塹壕での会話ひとつひとつが、大勝負での勝敗を左右しそうだ。