東京駅八重洲北口から徒歩5分の老舗「江戸風御菓子司 日本橋長門」さんで楽しむ梅雨ならではの上生菓子
全国各地で続々と梅雨入りのニュースが流れ、早くも気持ちは梅雨明けを知りたいとおもう今日この頃。恵みの雨とは申しますが、集中豪雨による心苦しい被害を目の当たりにすれば、もう少しお天道様には手加減してほしいと思うのです。
さて、梅雨と申しますのは「梅の実が色づいてくる頃の雨」という、日本らしい植物の変化から名づけられたもの。和菓子の世界にも梅を使用したゼリーや羊羹などが登場しています。しかし、味わいだけではなくとも、高い技術が生み出す上質な意匠にも注目。
今回は、東京にて約300年の歴史を誇り、徳川吉宗公の代より幕府へ和菓子を献上していたという現在は日本橋の老舗「江戸風御菓子司 日本橋 長門」さん(以下、長門さん)より「夏支度」と「紫陽花」をご紹介。
まるで本物の青梅のように愛らしく、ころんとした形の夏支度は今夏の新作なのだとか。少し過ぎてしまいましたが、七十二候では「梅実黄(うめのみきばむ)」という期間があるほど、日本人の生活と馴染み深い梅の実。
少女が淑女へと歩みを進めるように、爽やかな色彩にうっすらと頬紅をさしたような餅肌は外郎製。ややねっとりとしていて穏やかな甘さの外郎に包まれているのは白餡。甘さだけではなく、手亡豆の豊かな風味が絶妙な塩梅に引き出された中餡です。
だいぶ盛りを過ぎてしまいましたが、和菓子の世界ではその艶めきは褪せることのない「紫陽花」。青紫色に」染め上げられた錦玉(寒天)を小さな賽の目上に切り分け、芯となるあんこに丁寧に着せていきます。一カ所だけ薄くても厚ぼったくてもあのこんもりとしたボリュームのお花としては、成り立たないんですよね。
中餡は白餡?いえいえ、実は白餡の中に小豆こし餡が隠されているのです。先ほどご紹介した夏支度とはまた異なり、さらりとした湿潤な白餡。柔和な白餡の中に姿を隠すこし餡が、より一層全体の味わいに奥行を演出してくれます。小豆の力を実感致しました。
燦燦と降り注ぐ太陽の光を謳歌する紫陽花と、容赦なく降り注ぐ雨の中でしとどに濡れつつも、雨露さえ手玉に取る妖艶な紫陽花。ふたつの相対する面を、手の平に納まる作品にて楽しませていただきました。
そろそろ紫陽花の和菓子もおしまい。ぜひ、皆さんの周りの梅や紫陽花を模したお菓子で梅雨ならではの彩を味わってみてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<江戸風御菓子司 日本橋 長門>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区日本橋3-1-3 日本橋長門ビル
03-3271-8662
10時~18時
定休日 日曜祝日